[Book Review 今週のラインナップ]
・『空き家があっても借りられない時代の居住保障 住宅確保要配慮者への政策・支援を考える』
・『ルポ シリコンバレー AIブームと米国社会の断層を歩く』
・『身の回りの「なぜ?」を数理モデルで解いてみよう 自分の頭で考えたい人の数的思考トレーニング』
評者・神戸大学教授 砂原庸介
他者と関わり生きる実感 権利としてどう保障するか
本書で議論される「居住」の保障は、似たような概念である「住まい」や「生活」の保障とは異なる。個人が住むところだけを確保するのではなく、個人の生活全体の面倒を見るのとも違って、ある個人が他者との関わりの中で生きていると認識できることを重視する。だから、「住まい」を確保できていたとしても、住む人が孤独死をしてしまう状況では「居住」を保障できているとはいえないと理解できる。
この意味での「居住」は、まず高齢者や障害のある人、貧困に苦しむ人など、福祉政策の対象となった人について問題とされてきた。地域に根づいて暮らすグループホームのような形での支援がなかなか進まない中、外部と切り離された施設での生活においては、住む人が集団として処遇され、居住空間としての質は低くなりがちであった。
さらに近年は、児童養護施設退所者など困窮する若者、失業から困窮状態に陥った中年以降の人々などが、構造的に居住が保障されない状態に置かれている。そうした人々は、「住まい」を確保できていたとしても社会的孤立状態にあり、そこから抜け出すことを不可能にする個人的な特性のあることが少なくない。
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