このなかで最も重要なのは、T(Time)です。
繰り返しになりますが、顔、腕、言葉の症状が1つでも当てはまれば、発症時刻を確認し、ためらわず119番して救急車を呼んでください。自家用車やタクシーではなく救急車を呼ぶ理由は、搬送中から受け入れ病院の準備が始まり、到着後の治療開始が早まるからです。
また、FASTで見られるようなTIA(一過性脳虚血発作)の症状は、数分から数十分で治ってしまいます。
「疲れているからだろう」「気のせいかもしれない」と片づけたくなりますが、こうした判断が診断・治療の遅れを招き、その後の回復にも影響を及ぼすことは、さまざまな研究からも明らかになっています。
TIA後90日以内の脳梗塞発症リスクは15〜20%で、そのうち約半数は48時間以内に起きています。つまり、TIAは「そのうち起こるかもしれない」ではなく、「今夜起こるかもしれない」という警告なのです。
脳梗塞の9割「防ぐことが可能」
脳梗塞は防ぐことができる病気です。なぜなら多くの危険因子が修正可能なものだからです。
■脳梗塞の危険因子
具体的に言うと、世界32カ国・約2万7000人を対象とした国際共同研究INTERSTROKEでは、10の危険因子を特定しています。それは以下のもので、これらだけで脳梗塞の発症リスクのおよそ9割が説明できると報告されています。
そして、このうち特に最大の問題として挙げられているのが、高血圧です。脳梗塞を予防するためにも、血圧はきちんとコントロールしておくべきでしょう。
動脈硬化についても注意が必要です。多くの20代、30代は「まだ先のこと」と思っているかもしれませんが、その芽はすでに血管の中で育ち始めている可能性があります。


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