今回の現場で「意思疎通」をどのように取る計画だったのかの手段は明らかになっていないが、東武によると、基本的には中継見張り員と列車見張り員のやり取りは旗によって目視で行うのが基本。補助的に無線を使うケースもあるが、無線が届かない場合なども考慮し、安全のため目視で行うという。
男性は「300m離れていると、一般的に警備会社が使うような無線では条件が変わると入りづらいことがある。旗を振っていたとしても目視できるかどうか」と語る。配置が確実に行われていたかとともに、そもそも意思疎通を図るための手段が確実に確保されていたかどうかは重要なポイントだろう。
また、現場から離れた場所にいる中継見張り員は、列車が接近していることを確認したら現場近くにいる列車見張り員に連絡するが、意思疎通の手段が何であっても、反応がない場合は列車を止めなくてはならないのが基本だという。「無線が通じないとか、旗で知らせる場合でも列車見張り員からの反応がなければ止めないといけない」と男性はいう。
なくならない「作業員の接触事故」
「列車見張り員が3人だったという点にも不思議だと感じた」とも男性は話す。東武によると、事故当時列車の見張り員は現場から約80mの位置に列車見張り員がいたほか、下り側(日光方面側)に約315m離れた地点に中継見張り員を配置する計画になっており、さらに上り側(浅草方面側)の踏切に中継見張り員と、計3人の見張り員がいたという。
この点について男性は、「上り側にも中継見張り員がいたということは、下り線でも作業をしていたのでは」といい、「どのような作業計画だったかによるが、もし上り線と下り線の両方で作業をするのであれば、厳密には下り線側にもう1人、現場の手前に列車見張り員を配置するのが本来のやり方だろう」と話す。
東武によると、当日の作業計画では、まず新鹿沼駅の浅草寄りにある踏切から下り線を浅草方面に向かい、次の踏切で上り線へ移動。駅の日光寄りにある踏切まで進み、そこから再度下り線の作業をすることになっていたという。
さらに男性は、列車見張り員と現場の作業指揮者のやりとりが取れていたか、当日の列車ダイヤを渡されていたかなどさまざまな疑問点があるといい、「いろいろなことが積み重なって起きた事故だと感じる」と話す。そして、見張り員の行動だけでなく、そもそも全体の作業手順や人員配置が適切だったかの確認が必要だと指摘する。

