線路内で作業をしていた作業員や列車見張り員が列車と接触して亡くなる事故は過去にも数多く発生している。運輸安全委員会のウェブサイトに掲載された事例によると、同委員会が発足した2008年以降、24年までに作業員らが列車と接触して死亡する「触車事故」は9件あり、今年3月にもJR四国の予讃線で作業員1人が亡くなる事故が起きている。
同委員会は過去の事故について、「触車事故防止のための遵守事項や社内規程が守られていない、または触車事故防止教育が徹底されていないことが原因」と指摘。事故を防ぐため、作業前の打ち合わせで、退避場所や列車見張り員と作業員の伝達手段などの確認を行うことなどが重要としている。

ただ、鉄道の線路内作業の経験者は、「鉄道会社によっても、ルールが厳格なところとそうでないところがあるのは実情」と語る。また、現場によるルールの違いで混乱が生まれることもありそうだ。前出の列車見張り員の男性は、「見張り員の仕事も鉄道各社ごとに資格があるため所作も違い、例えば旗の出し方などが異なるケースがある」といい、「それぞれのやり方はあるだろうが、統一したほうがいいのでは」と話す。
再発防止へ安全策徹底を
鉄道の安全、安定運行を維持するために必要不可欠な線路内での作業。近年は夜間ではなく、日中に工事を行う例も多い。作業する線路そのものは列車を止めていても、隣接する線路では列車が走っているケースもある。線路内作業での安全確保策は極めて重要だ。
「見張りなどが『慣例』として形骸化してしまっているケースもあると思う。基本的にルールを守っていれば事故は起きないはず。この事故を契機に(鉄道各社・業界で)ルールを徹底し考え方を変えないと、また忘れたころに事故が起きてしまう」と列車見張り員の男性は語る。同じような悲劇を繰り返さないためには、今回の事故原因の徹底的な究明、そして鉄道各社や業界全体で安全対策の再確認を行うことが重要だ。

