第2に、上司への社内調整が必要なケースです。上司は広範囲のテーマに向き合っており、各テーマに対して浅い知識しか持ち合わせていないため、配下のメンバーは「解像度」のギャップを埋めることに苦労します。
上司の視点をたとえるとすれば、目の悪い人が、裸眼で遠くのショーウィンドウから何かを買うようなイメージです。よほどセンスが良い人でもない限り、何となく目立っている大きくて派手なものを買うか、判断できないので何も買わないかのどちらかです。
デジタルマーケティングでいえば、裸眼で買い物ができる豪胆な上司は、流行りのバズワードに飛びついて大けがをします。
こうした上司の多くは自信家で、自分や自社が世間一般とは異なる特殊な存在であるという尊大な考えを持っています。世の中的に「正解」だとわかっている施策よりも、前人未踏のにぎやかし施策を好みます。それゆえ配下のメンバーが、地味な「正解」を提案しても黙殺してしまうのです。
逆に、裸眼では買い物ができない臆病な上司は、何も意思決定できないまま静かに退場していきます。配下のメンバーからすれば「正解」だと確信している施策でも、上司からすれば投資対効果をイメージできず、万が一の責任を取りたくない営みに見えるのです。
デジタルマーケティングの施策は、広告・システム・人材など多額の投資を要するものが少なくないため、どうしても上司や経営者の意思決定をくぐらざるを得ません。また2026年現在において、デジタル活用は中期経営計画のトピックにも入ることが多いため、上司や経営者の関心事になりやすく、丁寧な説明が不可欠です。
思い込みの「自社らしさ」や「ブランド感」
第3に、自部門への社内調整が必要なケースです。
同じ部門の同僚なら、同じミッション・KPIを追っているため、普通ならきわめて具体的なレベルでの社内調整しか発生しないはずです。例えば、Web広告のバナーを赤と青のどちらにするかといった、もはや好みの問題と言っても差し支えないようなレベルで、自分の意見を通したいときは、自部門内でもわずかな社内調整が発生するでしょう。
しかし本当に問題なのは、自部門内にもかかわらず、アサッテの方向を向いているメンバーが多数派を占めているケースです。特にデジタルマーケティングの分野では、長らくリアルな顧客と対峙していない場合、思い込みの「自社らしさ」や「ブランド感」に固執して、「正解」を受け入れようとしないことがよくあります。


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