さらに笠原さんは、「現在の就労継続支援の仕組みは実態に見合っていない」と指摘する。
就労継続支援B型では、利用者の障害区分に応じた日額制の支援費が運営資金になるが、利用者が休めばその分削減されるという。工賃は必要経費を引いて全額利用者に支払う決まりのため、納期に間に合わずにスタッフが仕事を肩代わりしたとしても、その対価はスタッフには1円も入らない。結果、無理に仕事をとらず、空いた時間はレジャー活動をする流れになりがちだ。
一方、雇用契約を結ぶA型の場合は、"福祉"と"雇用"を無理に両立させようとした構造的な歪みから、大規模な不正も報じられている。
「例えばですが、1カ月に20日間利用者を1人受け入れた事業所には、13万〜14万円程度の支援費が入るといわれています。それは結局税金ですよね。でも企業体であれば、支援費などの行政コストはかからず、しかも企業活動を通じて社会に貢献できるんです。地域に様々な種類の作業ができる企業体があれば、障害のある人も自分に向いている作業ができる所を選べるようになると思うんです」
福祉事業所に利用者を1人受け入れた場合に入る支援費の何割かを、企業が1人雇った場合の補助金にしてくれたら、周りがサポートしながら働くためのコストが軽減するのでは、と笠原さんは提案する。
「通い続けたい場所」にする
また、障害者の法定雇用率が上がっても、どう雇用していいか分からない企業は多い。
笠原さんは、障害者雇用において大切なことは「毎日通いたいと思える場所にすること」だと主張した。そのためには、その人がそのままでいられる環境を整え、その人に合った仕事をつくることがポイントだ。
「仕事が嫌だという気持ちはあってもいいけど、その場所が嫌になってしまったら続かないですよね」
ねば塾では、同じ仕事をする人同士の相性が悪ければ、場所を分けて作業をしたり、別の仕事をしてもらうよう配慮する。
「お金っていう概念がない方も結構多いし、中には『1日に1時間働ければ十分なんです』っていう方もいます。自分で仕事を選べない人が多いので、その人が仕事に何を望んでいるかを一つひとつ聞き取ってあげれば、結構一つの会社で頑張れる人が多いと思います。親御さんとも、離れたら離れたなりに自分のペースをつかむ人が多いし、時間はかかるけど、周りが思っている以上にみんなちゃんと成長するんですよ」
売り上げは年間およそ1億7000万円で、そのうち粗利はギリギリ1割程度。人件費が3割ほどを占める。設立以来、障害者が作っていることをアピールすることはなく、あくまでも質の良さを追求した細やかな手仕事を売りにしてきた。
「品質がいいから買いたいっていう形でないと、やっぱり長く続かないし、作っている側のやりがいにもならないですよね。成長がゆっくりな分、長く続けないと花開いてこないですし」
笠原さんは、「障害がある人の方が、生き抜く力があると感じることも多い」とも語った。言葉ではなく目で何かを伝えたり、目的のためにまっすぐに行動できることをあげ、「天性の才能」だと話す。


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