一方でゼブラがこれまで得意としてきたのは、数百円~1000円台の商品だ。ラインナップを見ると、商品自体の主張や装飾性も、そこまで強くないものが多いような印象を受ける。
もちろん、高級ラインを無視してきたわけではない。シャープペンシルとボールペンの機能が1本にまとまった「シャーボ」では、数千円から1万円台の高級品に属するような商品も展開していた。とはいえ、同商品で最高価格の「シャーボX」は、自分でオリジナルの製品を作れるという点が売りかつ、単一の機能ではないことから「あくまで例外」(中田さん)。市場の変化と、新たなニーズに対応する商品が求められ始めていた。
合わせて、ゼブラは国外市場でも売り上げを伸ばしており、現在グループ売り上げのうち6割を占めるほどに成長している。これまで国内ボールペン市場を牽引してきたプレイヤーの1社として、日本ブランドを冠して世界で通用する商品も生み出したい。そうした機運も高まっていた。
課せられた“難題”
奇しくも、コロナ禍で商品開発をより良くする組織変更もなされていた。以前は組織が分かれていたデザインと設計が一体化したのだ。
「もっと昔は、商品開発の中に設計がいた時期もありました。その頃はヒット商品が数多く出ていたんですよ。それがいつの間にか別の組織に分かれてしまっていて。お互いが商品に一家言持っているわけですから、別の組織だとなかなかスムーズに進まないこともあるわけです。それが、また一緒になったことでいろいろできそうだなと」
そうして2022年末ごろから、社長を交えてこれまでにない商品を開発するプロジェクトが動き出した。まず中田さんに課されたのは「日本企業のゼブラらしく、かつ主張が強くない『名脇役』のような商品」というコンセプトだったという。
「とてつもなく難しいお題だなと思いましたね(笑)。当初は社長と役員、あとは研究本部長と私くらいの限られたメンバーで動き出したのですが、社運を賭けたような大きいプロジェクトですし、デザインは外部の方にお願いするのかなと思っていました。それが『お前がやってみろ』と言われて。
やっぱり時代もあって、いかに安く良いものを出すかを中心に考えてきたので……『さあ、何から始めよう』。そんな感じで動き出しました」
(本記事は後編に続きます)


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