「祖業こそ鋼ペン先ですが、やっぱりうちの会社は『ボールペンの会社』なんですよね。私が入社したころも、電話を取ったときに『はい、ゼブラです』ではなく『ゼブラボールペンです』と言っていたくらいでしたから(笑)。
市場を見ると、だいたい高級な万年筆があって、そこに次ぐ形でボールペンが売られていることが多いんです。それが悔しいなと。だから最初から『究極のボールペン、超高級なボールペンを作ろう』という点も決めていました」
万年筆に負けないボールペンを作る――その上でまず、中田氏が考えたのが「ゼブラの必殺技を詰め込むこと」だった。
「高級品らしくない、あり得ない」と言われた技術も搭載
必殺技の一つが、ゼブラの伝統とも言える「みえるみえるデザイン」だ。
1966年に発売したボールペン「クリスタル4100」で透明軸を採用し、文字通りインクの残量が見えることから大きな話題を呼んだ同デザインは、ゼブラとボールペンの歴史を語る上で欠かせないもの。一方で、高級ボールペンは「透明なデザイン」が御法度。代名詞とも言える「パーカー」を筆頭に、中芯が見えない構造が基本だ。
「高級ボールペンは、パーカー社の規格が事実上のスタンダードになっていることもあり、社内でも『気持ちはわかるけど、それはあり得ない』と言われました。でも、どうしてもゼブラの集大成と考えると外せない機能でしたし、既存商品がないのなら絶対にやってみたいなと。そもそも高級な時計だって、文字盤は透明な部分があるじゃないですか。何かやりようは、絶対にあるなと」
実現するために、部品の接合方法やインクに工夫を重ねた。インクは2024年に発売した「ブレンユー」に搭載していた、7年がかりで開発したものをさらに2年ほどかけて改良。インクの色味に加え、軸の内壁を汚さないなど細かい点に技術を凝らして、ゼブラらしさとラグジュアリー性を融合させた。


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