「着物にハサミを入れるな」という苦情も
伝統と格式を持つ着物業界の中には、「サムライアロハ」を快く思わない人もいるようだ。
事業開始時は「大切な着物にハサミを入れるな」という苦情が殺到した。近年は減ったが、苦情の声は今でもある。
だが、前述したように着物の箪笥在庫は膨大で、大半が眠ったままだ。着物に興味を持つ人はいるが、一式を所有するには費用がかかり、着付けも難しく、気軽に着られる存在にはなっていない。
筆者はかつて中古着物販売の「たんす屋」(当時は呉服商だった東京山喜が運営。その後同社が経営破綻して、現在は「まるやま・京彩」グループ傘下で同ブランドを展開)を取材したこともある。
同事業の根本哲学は「着物をもっと気軽に着てほしい」。現在はさらに、着物の一生に責任を持つ「きもの循環型」モデルも進めている。何らかの形で着物を流通させる取り組みを目指す人はいるのだ。
「東北の良い品を販売したい」
人流が途絶えたコロナ禍は厳しかった「サムライアロハ」も、近年は出店の引き合いが多く事業は順調だ。残された課題は何か。
「若い世代にも売れるブランドになりたいので、もっと気軽に買える価格帯の商品も開発中です。例えば荷物につけるブランドタグを800~1000円で販売したい。飛行機搭乗時に預けた手荷物やスーツケースにつければ発見しやすく、アクセントにもなります」
生まれ育った宮城県への思いは強く、「東北の良い品を販売したい」気持ちもある。ただし、良質な品を作っているのに販売価格が低いのは、着物に限らない。
「例えば日本の時計はあんなに精密なのに、販売価格ではハイブランドの時計に負けてしまいます。日本には職人は多いけど商人が少ないと感じています」
こう認識する櫻井氏。商品製作は“職人”に委ね、自らは“商人”としてさらなる活動に挑む。


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