カンファレンストラックが集中する前日のオープニングの基調講演で、アメリカ政府高官4名がそろってパネル討論を行った。その4名は以下のとおりだ。
ニック・アンダーソン:CISA長官代行
ブレット・レザーマン:FBI サイバー局長
キャスリン・E・サットン(ケイティ):DoW(DoD) サイバー政策担当次官補/長官付主席サイバー顧問
4名のうちショーン・ケアンクロス氏はAI時代の攻撃的サイバー作戦について対談形式のセッションを行い、残りの3名は、官民連携の見直しや攻撃的サイバー作戦の変化などについてパネルディスカッション形式で議論した。これまでも政府高官が登壇することはあったが、これだけ政府に近いメンバーがそろうのは異例といえる。
DoWはトランプ政権によって国防総省(Department of Defense)の副次的な名称とされた戦争省(Department of War)のことだ。新聞など報道機関はDoW/DoDを併記することが多いが、法的な正式名称はDoDである。公式サイトに戦争省またはDoWの略称が使われたのも象徴的だ。
Black Hatの運営方針の変化を感じさせる出来事だが、このオープニング基調講演は、従来からの基調講演や論文発表のトラックとは別立てで行われた。25年までは、基調講演はマンダレイ・ベイ ホテルのアリーナで行われており、主だった発表や講演は、巨大なカンファレンスルームで行われる「Briefings」というトラックで行われていた。26年は、ベンダー展示の会場に巨大な「Main Stage」が設けられ、基調講演や政策的なテーマやマーケティング視点の講演が行われた。
基調講演は政策トラックともいえる「Main Stage」にすべて組み込まれた(政府高官パネルはMain Stage)が、従来フォーマットの2本の基調講演は、マイクロソフトのエンジニアやアリゾナ州立大学の研究者らが登壇し、政策的には中立な内容だった。
「Briefings」における他の一般講演・論文発表も論調やフォーマットは変わっていない。方針変更というより、カバレッジの拡大、テーマトラックの増設と捉えることができる。
Black Hatは変わったのか?
現地取材の海外ジャーナリストや参加者にも、「Black Hatは変わった」という声をすくなからず聞いた。筆者取材の10年間でたしかに運営フォーマットの変更や規模の拡大、コロナ禍以降のオンライン体制の強化など、いくつか思い当たる節はある。


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