そもそも、ロシア問題は高市政権にとって大きな懸念材料だ。プーチン大統領は24年1月に「北方領土を必ず訪問する」と宣言。同年6月にも「ロシアが主権を持つ領土だ」と主張した。
もっとも、安倍政権時は両国の首脳の交流は活発で、安倍晋三氏の首相在任中に27回も会談が行われた。そして、16年度から6年間で対ロ経済支援として265億円を計上し、そのうち200億円を拠出している。
ところが、22年にロシア外務省が日本との平和条約締結交渉の停止を発表。これまで日本がロシアに投入した巨額の資金はムダ金となった。
そして、プーチン大統領は今年8月12日にサハリンで「ロシアは、安倍元首相を含む日本の指導者たちと建設的な関係を築いていたが、現在、日本側の立場が変化している」と語り、「(アジアでは)北大西洋条約機構(NATO)が浸透し、新たな軍事・政治ブロックが形成されている」として日本の動きを牽制。その翌日に択捉島に向かい、上陸を果たした。
日本を追い込む“極東のトライアングル”
こうしたロシアの示威行為の背景に、中国の存在があることを留意する必要があるだろう。
ロシアは中国に対して事前にプーチン大統領の択捉島上陸を知らせるとともに、13日には呉江浩駐日中国大使とノズドレフ大使が共同文書を発表。「第2次大戦の勝利の成果を守り抜くことは格別に重要な意義がある」と述べ、今回のプーチン大統領の択捉島上陸には直接言及しなかったものの、北方領土に関する協調姿勢を強調した。
さらに、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は8月15日、独立81周年の祝電を送ってくれたプーチン大統領に答電を返し、「正義のための共闘の歴史」を共有していることを述べるとともに、日本を「共通の敵」と指摘して「聖戦で勇敢に戦った」とほめそやした。
日本にとって、こうしたロシア、中国、北朝鮮による“極東のトライアングル”構築は、脅威にほかならない。
主導権を握るのは中国だが、その中国を高市首相は昨年11月の衆院予算委員会での「台湾有事発言」で激怒させた。習近平主席の怒りはすさまじく、今年5月に北京で行われた米中首脳会談でも、いきなり高市首相を名指しで激しく非難する場面が見られたという。また、6月に7年ぶりに北朝鮮を訪問した際、金総書記に「高市と会談するな」と厳命したと伝わっている。
そうした状況でプーチン大統領が択捉島に上陸した意味を考えるなら、日本を取り巻く環境はこれまでにないほど厳しいといえる。それは、日本の外交力の弱体化と相まって、日本の国際的地位の低下を招いているのだろう。日本が「世界の真ん中で咲き誇る」のは、もはや「夢のまた夢」となり果てたのか。


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