緊急帝王切開をした時のことを振り返るといっても、淳子さんにはその3〜4日間の記憶はない。ICUで多くの管に繋がれ、鎮静剤で半覚醒状態となっていたからだ。
「だから私は、息子の産声を聞いていないんです。授乳もしたかったんですが、できなかった」。それが心残りになっている。
淳子さんはもともと、辛抱強い性格だった。それまで大きな怪我や病気もしたことがなく、おたふく風邪が悪化している時も「少し調子が悪いなとは感じていたけれど、妊娠自体も初めてで、この辛さは妊娠特有のものなのか、我慢していいものなのかどうか、わかりませんでした。だからつい、『次の検診まで様子を見よう』と先延ばしにしてしまったんです」
緊急帝王切開による出産後、ICUにいた淳子さんは息子にしばらく会えなかったが、術後5日目にしてようやく初対面することができた。その後は医師にも「奇跡的」と言われるほどのスピードで回復し、入院から16日目に退院。ちなみにあの子宮筋腫は、帝王切開時に執刀医が切除してくれていたそうだ。
奇跡的に見つかった乳がん
この時の経験から、今では少しでも違和感を感じたら放置しないようになった。気になったらすぐに病院へ行くようにしている。そして、その習慣のおかげで大病を発見することができた。
「今から3年くらい前、乳がんが見つかったんです。初期の初期、ステージゼロでした」
淳子さんは定期的に女性検診を受けている。年に一度の検診を受ける前、淳子さんは少しだけ胸に違和感を覚えていた。乳腺外科への予約を迷ったが、その時は「まずは検診の結果が出てからでもいいかな、と思った」。しかし、検診中のエコーの時間が通常よりも「とても長かったんです。しかも、私が気になるなと思っていたところを繰り返し診ているのがわかりました」。怖くなり、結果を待たずにその場で乳腺外科を予約。後日改めて検査を受けると、ステージゼロの乳がんが発見されたという。


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