懸念されるのは、「学力向上のために社会情動的コンピテンシーを向上させよう」といった短絡的な考えにつながりかねないことである。
学力重視の傾向が強い中では、社会情動的コンピテンシーが、ただ学力向上の「手段」として受けとられかねない。そこは横浜市としても用心しているようで、丹羽氏は次のように言う。
「大事なことは、社会情動的コンピテンシーを通じて、学校という集団の中で子どもたちが、どう育っているのかをみていくことです。子どもたちにすれば、社会情動的コンピテンシーが向上していることで、自分自身の成長を実感できます。より良い自分を発見できることになります」
それが、子どもたちの成長につながっていく。とかくテストの点数による学力だけで、学校も子どもも評価されやすい環境にある。そこに違う価値感も加えるのが、社会情動的コンピテンシーの役割だともいえる。
学校という集団の中で子どもたちが成長していることを確認していく指標が社会情動的コンピテンシーというわけである。それが学校で得られるものなら、学校に通う意味を、子どもたちが実感できることにもつながる。学校の存在意義にもなる。
「日々の教員による声かけ」が重要な訳
社会情動的コンピテンシー向上には、「日々の教員による声かけ」が重要だと横浜市は調査研究から結論づけている。だからこそ、教員に声をかけてもらえる学校が子どもたちにとっては重要な場になるということでもある。その「声かけ」について、丹羽氏が説明する。
「なんでもいいから声かけすればいい、というものでもありません。横浜市がやっている運動嫌いの子どもをなくすプロジェクトで、その子にとって必要ではない声かけは意味がないという研究結果もでています」


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