しかし、お盆休みを挟んで、“潮目”が急激に変化した。きっかけは、政府が検討に入った、消費税減税と新たな給付制度(給付付き税額控除)創設の両関連法案を一本化して臨時国会に提出するという対応策だ。
これは、29年度に導入する新給付制度を関連法案の主体にして、消費税減税は2年間限定の「つなぎ」との位置づけを明確にするのが狙いとされる。消費税減税に反対している野党も、新給付制度は容認する立場とみられるため、「参院での関連法成立も見込める」(参院自民党の国対幹部)というわけだ。
一方で、自民党内の消費税減税反対派の間からは「一本化しなくても、参院での消費税関連法案は成立する」(参院有力幹部)との声も出始めている。「党議拘束がかかれば造反する議員は見当たらず、特別国会のように無所属議員を取り込めば、ギリギリ数は足りる」(同)という読みからだ。
そのため、多くの政府・与党幹部からは「関連法案の参院否決によって衆院で再可決するという強硬策は必要なさそう」(自民党の国対幹部)との楽観論が漏れてくる。中間取りまとめが各論併記となった国民会議有力メンバーからも「公明党は消費税減税関連法案にも反対しない方向」(自民党の政調幹部)といった声が出てきた。
楽観論の裏で頭をもたげる問題
ただ、こうした楽観論とは裏腹に、自民党内の消費税減税反対派の多くは「勝負のカギは、年末の税源確保策と、来年4月からの『飲食料品の消費税実質ゼロ』で実際に物価が下がるかどうかだ」(自民党の元税調幹部)と身構えている。「ドイツやイギリスでは結果的に物価は下がらなかったケースが多い」(同)との理由からだ。
さらに、消費税減税で政権浮揚を狙う高市首相が警戒しているのが、市場の反応だ。減税による財政規律の緩みが、円安・株安・債券安の「トリプル安」につながるリスクは避けられない。だからこそ、減税を決断した際にも「財政の持続可能性と市場の信認確保に十分配慮した財政運営を行う」と力説した。
こうした状況を踏まえれば、臨時国会で首尾よく減税関連法が成立しても、減税実施後の最大の難問とされる「税率を元に戻すことができるのか」だけでなく、「史上初の消費税減税をめぐる国内外の“暗闘”は、年単位で続くことは確実」(自民党長老)。高市政権の命運はその展開次第となりそうだ。


※ログイン後、コメント入力が可能です。