一方、私たち日本人が持っている「あたり前」が強みとなり、価値を生み出すこともできます。
例えば、「お客様の質問に早く回答することは良いことである」という日本で学んだ考えを海外でも持ち続けていた場合、その人のお客様からの評価は海外の同僚と比べ良いものになるかもしれません。
海外で働く日本人の同僚を見ると、多くは日本で身に付けた「あたり前」を発揮して、お客様に丁寧に素早く対応して成果を上げていました。
私自身も日本で学んだ「あたり前」が役立った経験があります。
冒頭の整理解雇の経験から数週間後、私は新しい会社で働くことになりました。整理解雇から短期間で次の勤務先に出会えたのは、日本で身に付けた「あたり前」のおかげでした。
日本の会社では、海外の会社と比べて、社員教育がとても充実しているように感じます。
私自身、新卒社員として働いた会社では、入社後の半年近い研修期間を経て、社会人として独り立ちをしました。
その研修期間中には様々な課題書籍を読んで、「業務の基本」を身に付けるように促されました。その中に、今でも大切にしている本があります。
整理解雇の後に出会ったある会社の採用責任者から、仕事で大切にしていることを問われた際、書籍を通じて「業務の基本」を学び実践することを伝えました。
するとその採用責任者はどんな本を読んで、どんな「業務の基本」を持っているのか質問をしました。私がある書籍の名前を挙げると、その人の目つきが変わり、真剣に話を聞いてくれました。
その後、その採用責任者の元で働くことになった際、その人も私が話をした書籍を大切にしていることを教えてくれました。日本で学んだ「業務の基本」が海外でも評価され、新しい仕事に出会うことができました。
日本の「強み」を教えてくれる人類学
私たちが持っている「あたり前」は、私たちにとって空気のような存在で、その価値がわかりづらいものです。そんな時、人類学を使うと、その「あたり前」の存在に気づき、自分が持つ「あたり前」を生かす方法を理解することができます。
海外に出て感じることは、「日本の『あたり前』は世界で通用する」ということです。日本の働き方や仕事に向き合う姿勢、今や日本の文化とも言える漫画やアニメ、世界を魅了している日本の食文化。
日本の「あたり前」は世界の「あたり前」と“違う”ものであふれています。
私たちにとって「あたり前」であるものが海外で「あたり前」でない時、私たちの「あたり前」を強みとして、世界で活躍することができます。
「何が私たちの強みになるのか?」
その答えは、人類学から学べることがあると考えています。


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