こうした「正解のない状況で何を軸に判断するか」という問いは、企業の採用や昇進の場面にも通じます。
たしかに、採用の最終局面で見たいのは、単なるスキルや上手に話す力ではありません。前例のないトラブルやマニュアルが通用しないグレーゾーンに直面したとき何を軸に決断するかといった人間としての胆力でしょう。
だからこそ、医学部選抜におけるMMI的な思考法には、社会で生き残るための教養と哲学が詰まっています。医師志望者はもちろん、それ以外の中高生や就活を控えた大学生、実社会で活躍する大人も含めて必須の「地頭力」と言えます。
AOエキスパートPROチームによる「MMI厳選予想問題」
ここで、先日上梓した『最難関大学の予想問題で鍛える 一生食える地頭力』に掲載した、総合型・学校推薦型選抜指導のプロフェッショナル「AOエキスパートPRO」チームが作問したMMIの厳選予想問題を紹介しましょう。
ある面接部屋に入ると、教授から次のような問題が出されます。
[形式:思考時間:2分・解答時間:1分・面接官との質疑応答:5分]
2035年、医療事故の概念は大きく変わりました。AIの指示通りに行動すれば過失は問われないが、医師が独自の判断で介入し結果が悪かった場合、厳しい責任追及がなされる社会です。そのような時代背景の中で、ある法学者が次のような言葉を述べています。
「AIは『後悔』することができない。ゆえに、最終的な『決断』を下す権利を持たない」
あなたが考えるこの言葉の真意を、「不可逆性(取り返しがつかないこと)」という言葉を用いながら述べなさい。
※法学者の発言を含め、設定は本記事の予想問題として作成したものです。
この問いに受験生が解答し、その内容について教授から質疑が繰り出され、対話する形式です。
それにしても、「AIに従っていれば安全なのに、あえて自分で判断し、失敗すれば責任をとらされる」というこの問題設定は、いまの企業に広がるコンプライアンス重視の風潮をさらに極端にしたディストピアだと言えます。
まるでSFのような問いですが、私はこれを「不可逆マネジメント」と呼んでいます。つまり、「あと戻りできないことを、誰がどう扱うか」というテーマです。
AIが論理的に正しい「正解」を瞬時に弾き出す社会で、それでも人間だけが担う役割とは何かが問われているのです。


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