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《島全体が別荘地》バブル遺産350軒、廃墟化も進む「日本のエーゲ海」で「営業せずに取引の9割を握る」大阪の不動産屋の正体

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鴻島の別荘群
瀬戸内海の絶景を見渡すようにズラリと建ち並ぶ、鴻島の別荘群(写真:筆者撮影)
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物件や島のメリット、デメリット、なにもかも包み隠さず伝える。その上で、購入を検討する人とだけ現地に訪問する。だから、信頼される。信頼されるから、紹介が紹介を呼ぶ。

冒頭の謎の答えは、ここにあった。売り込まなくても物件が集まってくるのは、売り込まないからなのだ。

定期船「のりなはーれ」は、1日の運送本数が最大でも7本だ(写真:筆者撮影)

タワマンを売るほうが儲かる、と知っていて

高野さんは、大阪生まれ、大阪育ち。小さい頃は、釣りをしたり川で泳いだりと、自然が大好きな少年だった。他方で、「おじいちゃんおばあちゃんのいる自然豊かな田舎に帰省する」ような経験はなく、そのぶん、田舎への憧れが強かったという。

自分が好きな場所、好きな分野で勝負したい。田舎暮らしや別荘リゾートに特化した不動産会社を立ち上げた理由は、「自然が好き」の延長線上にある。

「ビジネスとして考えれば、都会の1億円のタワーマンションを売るほうが圧倒的に儲かります。不動産会社の仕事内容としては、販売でも仲介でも変わらないので」(高野さん)

不動産の仲介手数料は、数パーセントだ。200万円の別荘を1軒仲介するのも、1億円のタワーマンションを1件売るのも、動く手間は変わらない。

「非効率なことをしているな、と自分でも思いますが、私が好きな場所から私を頼ってくれる人がいるんです。『商売、商売していない』とよく言われます。効率が悪いから、売り上げは横ばいですよ(笑)。でも、浮き沈みのない平行線なのでありがたいなと思っています」(高野さん)

大阪から鴻島まで、往復3時間の移動。しかも、本数に制約のある船で。和歌山の白浜にある物件にも、往復6時間かけて訪問する。すぐに成約すればいいが、そういうわけにもいかない。経費もかさむ。効率を考えれば、普通の不動産会社はやりたがらない物件だ。

だが高野さんは、車に釣竿を積んでいく。帰りに釣りをしたり、温泉に入ったりして帰ってくるという。

「現地まで時間と経費をかけて訪問して、成約にならなくても良いんです。だって、自然が好きだから」(高野さん)

コスパ・タイパではない、小さな会社だからこそできる、高野さんなりの戦い方なのだ。

瀬戸内海に浮かぶ鴻島の別荘群(写真:筆者撮影)
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