鴻島の物件を手がけはじめた2008年、「なんで大阪の不動産屋が、わざわざ岡山に」と地元住民との距離感もあったという。しかし、いまでは、高野さんを知らない人は鴻島にいない。
高野さんは、鴻島の別荘を所有しているわけではない。それでも毎年、自治会費を納める。年2回開催される町内会の祭りには、「少しでも鴻島に貢献したい」と寄付をする。
所有者が分からない別荘
鴻島の別荘の多くは、バブル期の1988〜89年頃に建てられた。築37、38年。メンテナンスをしなければ、あっという間にボロボロになる。手入れは基本的に購入者に任せているが、遠方で管理が難しい人のために、鴻島の工務店にお願いするケースもある。
なかには、屋根が崩れ落ちている物件や、所有者が分からなくなっている物件もある。自治会と連携しながら空き家問題に取り組んでいるが、一民間企業にできることには限界がある。
「鴻島の方と共存共栄で、ここまできました。本当に感謝しています。所有者不明の物件も気になっています。手のつけようがないほどボロボロになる前に、私と繋がりがあれば、誰かを喜ばせる別荘として復活させることができたのにとの思いもあります」(高野さん)
空き家はほぼなくなった、と高野さんは言う。だがそれは、売れる状態の物件に限った話だ。売れる状態を過ぎてしまった別荘は、統計にも仲介の対象にも入らないまま、斜面に残り続けている。
三和開発コンサルタントの社員は、高野さんを含めて4人。繰り返しになるが、鴻島を担当できるのは、高野さんただ1人だ。小さな会社だからこそ、抱える問題もある。
「もし将来、鴻島事業から退くことになれば、きちんと引き継ぐ体制を作っておきたい。これだけお世話になった鴻島と住人に、いい加減なことはしたくないと強く思っています。仕事で色々な別荘地を手がけてきましたが、船に乗らないと行けないのは鴻島だけなんです。鴻島はやっぱり、私にとって、ちょっと特別ですから」


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