いかに規制を強化してみても、事業者やその従業員に、法令を遵守する気がない場合には、規制強化は無意味である。一方で、法律違反によって利益を上げる事業者が放置されていては、ルールを守る事業者が不利になり、「正直者がバカを見る」ことになってしまう。
また、日本から個人情報やデータを収集して利活用する海外事業者に対して法の規制が実効的に及ばず、日本国内の企業ばかりが規制されるという状況は、国内外の事業者間での不平等を生じさせるので、平等に規制する「イコール・フッティング」も必要となる。
このため、今後は委員会が適切に国内外の事業者を監督し、個人情報保護法を執行することが不可欠だ。しかし現状では、委員会の監督・執行は、個人情報の漏洩等の安全管理措置と業務委託先の監督に集中しており、第三者提供や適正取得違反等に関する行政指導はごく少数にとどまる。
今後は、「統計情報等の作成(AIの学習等を含む)」以外の目的での第三者提供や目的外での利用を実効的に抑止するために、委員会がどのように監督・執行の権限を行使するのかという点が大きな課題になってくるだろう。
「行政保有のデータ」の利活用にも課題
また、行政データの利活用についても課題がある。
前回20年の個人情報保護法改正によって、行政機関や各地方公共団体における個人情報の取り扱いについては、それぞれのルールから個人情報保護法に一本化され、保護と利活用の平準化が図られた。
その際、地方公共団体が個人情報を第三者に提供する場合に設置されていた「個人情報保護審議会」等への諮問手続きが廃止された。しかし、諮問手続きが無くなったため、行政にとっては提供の「お墨付き」が得られず、かえって提供に慎重になっているという面もみられる。
AI開発やイノベーション促進のために行政が保有するデータの利活用を推進するうえでは、むしろ個人情報保護審議会等への諮問手続きを復活したほうが、結果的に適切かつ円滑なデータ提供が可能になるのではないだろうか。





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