僕は、大学受験には大きく2つのタイプがあると思っています。
自分を「伸ばせる子」と「伸ばせない子」の違い
一つは、「パーソナルトレーニング型」で受かった子。ダイエットする時のパーソナルトレーニングと同じで、プロが横につきっきりでメニューを組み、進捗を管理し、モチベーションまで支えてくれる。子ども自身は、言われたメニューをこなすことに集中していれば、目標にたどり着く。効率的で、成果も出やすいでしょう。
もう一つは、「泥臭型」で受かった子。自己流の勉強法を実践して浪人したり、模試の成績が上下したり、途中で勉強法を変えて失敗したり、自分で試行錯誤を繰り返しながら、なんとか受かった子です。これらの生徒は、効率は決してよくありません。時間もかかるし、精神的にもきついです。
ですから、短期的な結果だけ見れば、①のほうが圧倒的にコスパがいいです。
教育投資に余裕のあるご家庭ほど、①のルートを選びがちになるでしょう。
しかし、大学に入ってから伸びるのは、圧倒的に②だと思います。
その理由は、②の子は、受験生時代に「自分で自分を伸ばす方法」を、身体で覚えているからです。
うまくいかない時期に、自分でやり方を変える。誰も助けてくれない状況で、なんとか自分の頭で答えを探す。この経験を、何十回、何百回とやってきている。
だから、大学に入ってからも自己管理ができます。
ここまで読んで、保護者の方の中には、少しドキッとされた方もいらっしゃるかもしれません。
塾に通わせる。成績が下がれば家庭教師をつける。宿題の進捗を親が管理する。志望校選びから勉強のスケジュールまで、親が一緒に組む。
どれもこれも、子どものためを思っての行動です。
僕は、この気持ちを否定するつもりは一切ありません。むしろ、それだけ子どもに関心を持って向き合っているご家庭は、本当に立派だと思う。
しかし、一つだけお伝えしておきたいことがあります。
その"よかれと思って"を完璧にやればやるほど、「子どもが自分で考えて、自分で立ち上がる能力」を、少しずつ奪ってしまう可能性があるということです。
そしてその「自力で立ち上がる能力」は、社会に出てからも求められる能力に近いです。
学習能力・経験学習サイクル・PDCAサイクル……いろんな呼び方がされますが、まあ一言で言ってしまえば「地頭」と呼ばれるものです。
「大学生の塾」が盛況になっているというこの現象は、この20年の日本の子育てが、子どもから何を奪ってきたのかを、静かに可視化しているのかもしれません。


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