そういう「ガチガチ固め型」の環境にいる生徒にとって、高校までの勉強って、極論すれば、「やれと言われたことを、ちゃんとやっていればOK」な世界だと考えられます。
誰かから宿題が出される。範囲が指定される。テストの日程も決まっている。塾に行けば、そこでもまた「今日はここをやろう」と言ってもらえる。
子どもの側は、目の前に置かれたメニューを、真面目にこなすことに集中していればよかった。真面目にこなしさえすれば、成績も上がるし、大学にも受かる。
ところが、大学に入った瞬間、この構造がひっくり返るんです。
どの授業に出るかどうかは自分で決める。何を専攻するかも自分で決める。試験勉強のペース配分も自分で決める。レポートに何を書くかも、参考文献の探し方も、全部自分で組み立てる必要がある。誰も「今日はこれをやりなさい」とは言ってくれない。
「自分でやることを決める」のに慣れてない
こうした転換が、想像以上にきついわけです。
塾漬け・家庭教師漬けで受験を突破してきた子たちは、この「自分で決める」という作業を自力でやった経験が乏しいです。
これまでは、何をどれくらいの時間かけて勉強すればいいかは塾の先生が決めてくれた。わからないところはすぐ誰かに聞ける環境にあった。「今日はこれをやりなさい」というメニューが、常に用意されていた。
これは、この生徒たちが「サボっていた」という話では決してありません。むしろ、その環境の中で真面目に努力してきた子たちなんです。
ただ、「自分で自分の勉強を回す」という経験を、一度も積んでこなかった。だから、大学で足場を外された瞬間、崩れてしまう。そして、この崩れを想像以上にひとりで抱え込んでしまうのです。
僕がこれまで相談を受けてきた大学生の中には、成績のことを親に言い出せないまま、ひとりで苦しみ続けている子が、本当にたくさんいます。
「単位を落とした」「留年しそうだ」ということを親に伝えられないという現象が発生しています。


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