アゼルバイジャンやジョージアは、ウクライナ、モルドバと共に、ロシアとの間に領土問題や民族問題を抱える国々の集まりである国際機構「GUAM」を形成している。設立当初から「反露」の集まりと見なされ、欧米との関係緊密化を目指してきた。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻を契機に、GUAMは「象徴的な政治同盟」から、地政学的な危機を生き抜くための「実務的なサバイバル機構」へと変質を遂げている。
特に、ロシアを迂回してアジアと欧州を結ぶ「中央回廊」の重要性が高まる中、輸送回廊としてのインフラ整備や税関手続きの共通化など、経済的な結びつきを強める具体的なプロジェクトが優先して進められている。
「安全保障の空白」をめぐる日本への示唆
南コーカサス三国の状況から見えてくるのは、三者三様の「主権の設計図」である。
ジョージアはNATO志向を持ちながらも分離地域の固定化により主権が制約され、アルメニアはロシアへの単一依存構造からの転換途上にあり、アゼルバイジャンは資源主導型の高度な複線化を実現している。
これらの国々の事例は、単一の大国に過度に依存することの危険性と、複数の「回線」を並行して維持・管理する「複線化」の重要性を教えてくれる。
物流回線やエネルギー回線の設計は、単なる経済インフラの問題ではなく、抑止と兵站に直結する安全保障の問題である。
そして、安全保障の空白は必ず他国の回線で埋められるという厳しい現実を、大国の狭間に生きる日本も決して他人事としてではなく直視しなければならない。

