とはいえ、紙の内需減少は今後も継続する見込み。市場縮小を見越して日本製紙は採算確保のためにグラフィック用紙の生産拠点の統廃合による合理化を計画している。
八代工場や石巻工場を含めて日本製紙には、グラフィック用紙を生産している国内工場が現状6拠点ある。30年度までの中期経営計画期間中に、6拠点ある生産拠点を3拠点まで絞る予定だ。
生産停止の判断時期に影響か
継続する3拠点は石巻工場、岩沼工場(宮城県)、岩国工場(山口県)となる予定のため、八代工場でのグラフィック用紙生産は近い将来に終了が見込まれていた。グラフィック用紙の生産を止める拠点については、家庭紙やパルプ製造などへの事業転換を進める計画だ。
すでに24年には新聞用紙向けの設備が停止し、グラフィック用紙の生産能力の削減が進んでいた。今回の工場の被害状況によっては、グラフィック用紙の生産停止時期を早める判断につながる可能性もある。
日本製紙は今年5月にも飲食料品パッケージの原紙を生産するアメリカ子会社の工場で薬品タンクが倒壊して、11人が死亡し、8人が負傷する重大事故が発生したばかりだった。26年3月末時点での純有利子負債は6752億円と自己資本の1.2倍と経営環境や財務状態に余裕があるわけではない(詳細は日本製紙「成長戦略のキーパーツ」だったアメリカ子会社の工場で11名死亡の重大事故…脆い財務基盤を揺るがす懸念)。
苦しい経営状況に事故と被災が重なってしまった形で、日本製紙にとって厳しい状況である。石巻工場での奇跡の復興のように同社が立ち直れることが求められている。

