半導体のサプライチェーンはどうか。
堀場製作所は、子会社の阿蘇工場(熊本県阿蘇郡西原村)で半導体製造装置向けマスフローコントローラを生産している。同工場では地震発生直後に出勤者は全員屋外に退避し安全を確認、人的・物的な大きい被害はないという。工場は停止中で、29日は安全を最優先に工場内の点検を行っている。30日以降の操業も未定だが、京都の福知山工場も立ち上げており、代替生産体制と試薬製造の拠点分散配置の強化を進めているほか、建屋の耐震強化やインフラ設備のバックアップなどBCP対策を取っている。
ウエハ、ガラス基板の搬送装置を製造するローツェ。九州工場(熊本県合志市)では従業員の人的被害は確認されていない。工場は停止中で、設備・建物の被害は確認中。信越化学はグループの信越石英(熊本県大津町)が半導体などでも使われる石英ガラス製品を生産している。大きい人的・物的な被害は現状確認されていない。
CMP装置とよばれる前工程の半導体製造装置で世界シェア3割、ドライ真空ポンプで世界シェア2位の荏原製作所。半導体向け主要製造・サービス拠点である熊本事業所(玉名郡南関町)の従業員は全員の無事を確認。建物・設備においても大きな損害は確認されていない。29日は安全を最優先し稼働を止め、点検を実施。今後、安全が確認でき次第、順次稼働を再開する予定だ。
フェローテックは、半導体製造装置・部品の精密部品再生洗浄サービスを行う熊本拠点に人的被害はない。機器・装置等の位置ずれなどがあり、操業影響等について調査中。液晶向け材料を作っている三菱ケミカルの熊本工場(熊本県宇土市)は昨日から操業を停止している。軽傷者が2名、窓ガラスの割れやアスファルトのめくれなどがあり、再稼働は未定となっている。
富士フイルムは熊本県菊陽町に半導体材料、ディスプレイ材料工場を持つ。建物、人的被害はないという。京セラは半導体製造装置の部品やパッケージを生産する鹿児島川内工場(鹿児島県薩摩川内市)、鹿児島霧島工場(鹿児島県霧島市)ともに人的被害、設備被害はない。
自動車、2輪は足元で稼働を停止
ホンダは熊本製作所(熊本県菊池郡大津町)で2輪と汎用エンジンなどのパワープロダクツを生産している。人的被害はなかったが、地震発生時に稼働したスプリンクラーの影響で漏水・浸水が一部で発生したため、稼働を停止し、従業員を帰宅させた。29日も稼働を停止しており、31日までの稼働停止を決定済みだ。
ホンダの持分法適用会社であるAstemoは、自動車や2輪用部品を生産するAstemo宇城(熊本県宇城市豊野町)が被災し、工場の稼働を停止した。建屋外壁が一部損傷したという。工場内部については、29日時点では立ち入りが制限されているため、詳しい状況を確認できていないという。人的被害は「数人のけが人が出たが、命に別状はない」(同社)としている。
トヨタ自動車は地震による影響で、トヨタ自動車九州の宮田工場(福岡県宮若市)、苅田工場(福岡県京都郡苅田町)、小倉工場(福岡県北九州市)において、28日に2直(夕~深夜)の稼働を停止した。人的、物的被害の報告はないという。29日の1直(朝~午後3時ごろ)からは稼働を再開したが、安全、物流、仕入先状況を考慮し、同日2直から31日2直まで再び稼働を停止。8月3日(月)以降については未定だ。
ENEOSホールディングスが持つ、九州唯一の製油所である大分製油所(大分市)は稼働への影響はない。ただ、ガソリンなど石油製品の重要な輸送中継地である熊本油槽所(熊本県八代市)については、「余震の恐れがある中で、被害の有無も含めて確認中」(ENEOS広報)としている。

