しかし、私たちは、1年のうちわずか2時間にすぎないこの姿に慣れすぎてしまっている。しかも、あきれたことに、私たちはもはや動物ではないとすら思っている。
「三つ子の魂百まで」というが、はたして600万年間遺伝子に刻まれた生存習性が、そんなに簡単になくなるだろうか?
絶対にそんなはずはない。
父親を自動的に警戒する娘たち
人間は相変わらず100パーセント動物である。
まさにこのことが、最近の心理学会を揺るがしている研究の共通点だ(Kenrick & Griskevicius, 2013; Lieberman, 2013; Sapolsky, 2006)。
それには「18禁」の内容が多く、はじめて接した読者はとまどうかもしれない。
私自身、こうした研究を抵抗なく受け入れるまでには数年がかりの勉強が必要だった。当惑や疑惑、ひいては若干の不快感も抱きかねないが、それは自然な反応なので、ここですぐに読むのをやめてしまわないでほしい。
私たちの動物らしさをうかがい知ることのできる数々の研究のうちのいくつかを紹介しよう。最近の心理学の論文誌に掲載されたリーバーマンと共同研究者たちの研究である(Lieberman, Pillsworth & Haselton, 2011)。
あらゆる文化において、近親者間の性交渉は禁じられている。
根本的な理由は、近親関係から生まれた子どもの遺伝子に突然変異が生じ、生殖能力を失う確率が高いからだ。それだと血統が途絶えてしまうため、進化過程で近親性交渉を防ぐことは非常に重要な課題となった。
そのため、動物たちは一種の「近親感知システム」を保有している。
人間の場合はどうだろう?
上記の研究で、数カ月にわたって女子大生たちが誰とどれくらい頻繁にメッセージや電話をしているか分析した。
女子大生たちの妊娠確率が高い可妊期と、そうでない期間の通話内訳を比較してみたところ、たった1人の人とだけ通話パターンに変化があった。
彼女たちの父親である。
研究者たちの予想どおりだった。


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