入院費用がわかったところで、気になるビジネス面についても踏み込んだ疑問をぶつけてみた。前編で紹介したとおり、筆者のぬいぐるみの入院費は合計1万8370円だった。治療の過程で追加作業が発生すればプラス料金がかかるとはいえ、2万円程度に収まっている。
当然ぬいぐるみの状態によって価格は変動するが、平均入院費用は約3万円だという。月100体を受け入れているため、単純計算で月商300万円、年商3600万円となる。ちなみに、歴代最高入院額はなんと80万円にも及んだそうだ。大金を払ってでも「直してほしい」と依頼する人がいるのだから、ぬいぐるみの治療ビジネスは現代において必要な事業と言える。
開業時は驚異の「2年待ち」だった…全工程手作業の裏側
決して安くはない金額が発生するにもかかわらず、治療の依頼は後を絶たないという。クリニック開設時には、なんと最長2年待ちの状態だったそうだ。
当時はわずか4人で対応していたため、長い待ち時間が発生してしまったのだ。そこからスタッフを倍増し、8人体制となった2026年6月時点では、4カ月待ちにまで短縮。だが、それでも多くのぬいぐるみが治療を待っている状態だという。
「杜の都なつみクリニックでは、月に100体のぬいぐるみの治療を受け入れています。しかし、一人ひとり全工程を手作業で治療しているため、どうしても退院までに時間がかかっているのが現状です」
治療現場を覗かせてもらったが、ミシンで慎重に縫い合わせたり、設計図を引いて治療箇所を確認したりと、ぬいぐるみを1つずつ手作業で治療していた。
しかし、依頼(申し込み)から診察(見積もり)まで約4カ月はそれでも長い。どうして依頼が後を絶たないのか。そこには、ぬいぐるみを人間同様に入院患者扱いすることで、徹底的に依頼者の不安を解消する仕組みがあった。

