――つまり、身内に足元をすくわれた側面もあったと。
栗田:渡邉らが、女フィクサーに翻弄されていく顛末は、彼らの犯罪者心理が強く出ていた場面だったんですよね。
印象的だったのは、小島は面会の際に「私たちは単に身内に売られた」と話していたことです。フィリピン当局や日本の捜査機関が動いたから逮捕されたのではなく、ミカに見限られなければ、おそらくまだフィリピンで悠々自適に暮らしていたと。
ただ一方で、第三者から見れば、両者は騙し合いをしていたわけですよ。渡邉らは賄賂を渡すことで便宜を図ってもらい、ミカはお金目的で偽装結婚までして犯罪の片棒を担ぐ。互いに危ない橋を渡りながら、持ちつ持たれつの脆い関係だったわけですね。
資金確保のため収容所内から犯行をエスカレートさせた
――報道で見るような冷酷な犯罪集団のイメージとは、また違う印象を受けますね。
栗田:これだけ狡猾で凶悪と報道されてきたルフィグループの幹部らも、蓋を開けてみれば、現地でのコネクションに頼ることで犯罪が成立していたわけです。
そこで得た莫大な稼ぎで、彼らは放蕩の限りを尽くしていた。ギャンブルをやり、現地のキャバクラなどで豪遊し、外車を乗り回し、ハイブランドの服やスニーカーを買い漁る。人間の欲望がむき出しになっているのが、むしろ等身大というか、生々しく映ったんですよね。
結局、ミカとの関係が絶たれて、ビクータン収容所に拘束されると、彼らも破れかぶれになっていきます。国外に逃亡するための資金を確保しようと、特殊詐欺から強盗に舵を切り直して、収容所内から犯行をエスカレートさせていく。暴行も厭わずに金を盗むよう実行役を脅して、死者を出す惨事にまで発展し、互いに罪をなすりつけ合う。これが彼らの末路であり本質だと感じています。

