――改めて、ルフィグループがもたらした影響をどう受け止めていますか。
栗田:小島の公判で裁判長が言及していたことですが、一連の事件が罪深いポイントは、彼らが行っていたようなやり口の詐欺が爆発的に増えていることです。
警察庁の発表による特殊詐欺の被害総額は、2021年には282億円まで減少したものの、2024年には約720億円、2025年には約1414億円と過去最悪に膨れ上がっている。認知件数だけでも2万7000を超えていると言われています。
一連の報道によって、ルフィグループの手口が詳らかにされることで、素人に近い集団でも遂行できてしまうようになった。詐欺に関していえば、スマホから電話をかけるだけなのでリスクが低く、その割に量刑の相場も1~3年ほどが目安とされていて軽い。警察庁も、2023年にトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)という言葉で注意喚起して、一定の効果が出ていると思いますが、事件の増加に対しての対策までは追いついていない印象です。
小島とは45回以上面会を重ねた
――最後に、読者に受け取ってほしいことがあればお伺いしたいです。
栗田:いまや誰もが1回は詐欺電話を経験しているほど、特殊詐欺が横行している現実は重く受け止めるべきでしょう。私としてもライターの立場から、詐欺を働く当事者がどういう心理なのか、当事者の性格やパーソナリティに焦点を当てて本書を書き上げたつもりです。
本来ノンフィクションであれば、事件のスキームを詳報して、全貌を解明しようと書き進めていく手法が多いと思うんです。ただ個人的には、そうした事実関係は裁判記録を辿ればわかりますし、「犯罪者を断罪してやろう」という大義が強くなると、読者が置いていかれがちになると懸念しています。
それであれば、当事者の人柄やルーツを掘り下げたほうが、読者も物語として没入してくれて、何を考え、どんな犯罪心理のもとに成立していたのかを汲み取ってくれると考えました。小島とは45回以上面会を重ね、山田とは手紙のやり取りを200枚近く行ってきた中で、ある程度は自信を持って書けるところまでは落とし込んでいるつもりなので、また違う角度から事件や犯罪者を見てもらえる本になったのかなと思います。


