――詐欺集団の他のメンバーも、山田と似たような動機から、闇バイトに応募していたのでしょうか。
栗田:「犯罪の意識が希薄」という意味では、他のメンバーも似通っている部分があると見ています。一例を挙げると、ギャンブルで消費者金融に20万~30万円借金していたり、ホストにハマって数百万円の売掛金(ツケ払い)が残っていたりと、生活の遊興費が嵩んだことで応募するケースは散見されます。そんな安易に一線を越えてしまうのかと、拍子抜けしてしまうほど短絡的でした。
一方で、山田のように、深い劣等感を抱えていたメンバーもいた。だからこそ山田は、グループの中でも抜きん出た数字を上げていたのかなと。要は、過去のつらい境遇を、かけ子として実績を上げることで昇華させていたと捉えています。
一般の会社や学校でも、自らがのし上がっていくために、手段を選ばない人が一定数いると思うんです。周りからの評価に過敏で、環境に過剰に適応していくタイプと言いますか。山田にもそうしたパーソナリティが垣間見えたのは興味深かったですね。
トップは「人心掌握やマインドコントロールの天才」
――著書内で興味深かったのが、「暴力や恐怖、待遇の良さだけで組織運営が行われていたなら、ここまで巨大化しなかっただろう」と自論を展開されていたところでした。
栗田:山田だけでなく、グループの周辺取材でも、トップの渡邉について「人心掌握やマインドコントロールの天才だった」と打ち明けているんですね。つまり渡邉は、どのようにメンバーのコンプレックスを刺激して、飴と鞭を使い分ければ、人が動くのかを把握していた面があった。
報道から、組織内で暴力行為やイジメを通じて発破をかけ、個人情報や家族などを盾に脅す。そうした恐怖政治により集団が統制され、規模が拡大していった印象が強いかと思います。
ただ私の取材では、特に中枢の幹部に関して言えば、妄信的かつ自発的に詐欺に精を出しているような者も少なくなかった。そこがルフィ一味がここまで巨大化した本質だと見ています。

