高齢労働者が強気に出られる時代の到来
「リタイア・シフト」とは何か。
それは世間に常識として存在しているリタイア(仕事の引退)のタイミング、そしてリタイアを取り巻く環境自体が大きく変わる、社会の一大変革である。
今まで、リタイア時期というのは硬直的なものだった。国や企業がそのタイミングを強制的に決定し、会社員はそれに従うしかなかった。
「年金をもらえるまでは、現役にしがみつくほかないか……」と、たいていの人は高齢者雇用を後ろ向きに捉えていた。
ところがこれからの時代、リタイアのタイミングを決める主導権は、会社から会社員の側に移る。
慢性的な人材不足の中、企業は高齢者雇用をますます積極化していく。60歳代後半あるいは70歳代になっても「働いてほしい」と期待する。
ところが国の年金は65歳からもらえるわけで、「年金がもらえるまで働く」という会社員のニーズは先に充足されてしまう。
つまり、会社が「60歳代後半も働いてほしい」と願っても、会社員は「条件次第で決めよう」と、強気に出られることになるのだ。
会社員にとって、この変革は痛快である。今まで世間に流布していた、年齢順に社会から追い出される引退のイメージは崩れ、「リタイアタイミングを自己決定する」ことになるのだから。
実はこうした「リタイア・シフト」は、これから起きる未来予測ではない。すでに現場では動き始めている。


