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高齢期にさしかかった「中国残留日本人孤児」たち…板橋区のデイサービス施設で目撃した"意外な現在"

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中国残留孤児
高齢期を迎えている中国残留孤児やその家族が抱える不安や悩みとは?(写真:Saurabh797/PIXTA)
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「福祉の仕事は私の天職です。人に頼られ、感謝される。やりがいのある仕事です。この道を選んで本当によかったと思います」

多忙な日々を送りながらも、三上氏は穏やかな笑顔でそう語った。

一笑苑戸田には約40人が入居しており、24時間体制で介護・看護スタッフが利用者を支えている。施設内の共通言語は中国語だが、スタッフは日本の介護施設と同様の専門研修を受け、質の高いサービスの提供に努めている。

三上氏は18歳の時に中国から来日した。祖母は中国残留孤児である。自身も多くの残留孤児の二世・三世と同じように、「完全な日本人でも、完全な中国人でもなく、その中間にいる存在だ」と感じているという。

現在、両親は70代となった。利用者の介護に携わる一方で、自らも親世代の老いと向き合う立場にある。そのため、高齢者や家族が抱える不安や悩みを、より身近なものとして理解できるのかもしれない。

日中のどちらで老後の生活を送るのか

20代から50代の在日中国人十数人に、将来どこで老後を過ごしたいかを尋ねたところ、約3分の1が「日本」と答えた。理由として、日本は社会保障や介護制度が充実しており、安心して老後を送れる環境が整っていることを挙げた。

一方、約3分の1は「中国に戻って老後を過ごしたい」と回答した。彼らは、今後20〜30年の間に中国の高齢者福祉や介護サービスが大きく発展し、場合によっては日本の水準を上回る可能性があると考えている。

残る約3分の1は、「現時点では老後について深く考えていない」と答えた。まだ現役世代であることから、老後の生活よりも仕事や子育てなど、目の前の課題を優先している人が多かった。

在日中国人の老後に関する意識調査は、移民社会が抱える将来の課題と期待を映し出している。今回の聞き取りでは、「日本で老後を過ごす」「中国へ戻る」「まだ考えていない」という3つの考え方がほぼ同じ割合で見られた。

日本を選ぶ人が一定数いる背景には、世界的に見ても整備された医療保険制度や介護保険制度への信頼がある。超高齢社会を長年経験してきた日本は、高齢者支援のノウハウを蓄積しており、その安定性は外国人住民にとっても大きな魅力となっている。

一方で、中国を選ぶ人々の見方も興味深い。現在の中国では高齢化が急速に進行しており、介護産業や医療技術への投資も拡大している。彼らは、数十年後には中国の高齢者サービスが大幅に向上し、自国で快適な老後を送れるようになると期待しているのである。中国人には「落葉帰根」(葉は根元へ帰る)という意識があり、年を取ると故郷に戻って余生を過ごす。

また、「まだ考えていない」と答えた人が少なくないことも現実的な姿だろう。20~40代にとって老後はまだ遠い将来の話であり、仕事や家庭の問題のほうが切実だからだ。また、中国や日本に限らず、海外の他の国で老後を過ごす可能性もあるという意見もある。

在日中国人の老後観は、日本と中国のどちらが優れているかという単純な比較ではなく、両国の発展や自身の人生設計を見据えながら形成されている。その選択は、今後の日中両国の社会保障制度や高齢者政策の変化によって大きく左右されるだろう。

もう1つの選択肢は、日本と中国でそれぞれ半年ずつ過ごすこと。どちらにも魅力があるからこそ、一方を選ぶのではなく、日本と中国を行き来しながら暮らすのが理想かもしれない。

半年は日本、半年は中国。2つの国の良さを味わいながら過ごす老後は、豊かな人生のように思える。

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