にもかかわらず、パロディ比重が高いことで削られたであろう部分や雑に扱われていると感じるシーンが目立ってしまった。ずっと『ケロロ軍曹』が好きなファンからすれば、「もはや設定が破綻している」と感じた部分もあるようだ。
さらに、公開前日である2026年6月25日には「『新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!』 制作過程における不手際についてのお詫び」という異例の謝罪文を掲載する事態も起きている。本件は、劇中に盛り込んだパロディがパロディ元の権利者の意向に反する内容のまま制作を進めてしまったことに対する謝罪だ。ネタバレになるので詳細は説明できないが、確かに権利者が拒絶しても仕方がないなと感じる内容だった。
つまり、新劇場版では『ケロロ軍曹』そのものだけでなく、パロディ元に対するリスペクトも欠けているのが実情なのだ。
本筋に関係ないパロディやメタ要素が多すぎた
上述したとおり、本作は現声優陣の最後の「集大成」となる作品だ。新シリーズではキャストの世代交代がおこなわれるからこそ、従来のファンにとって声優の世代交代を受け入れるための「お別れの儀式」のような意味がある。もう聞けなくなってしまう声を思い出に残すためにも、ケロロ小隊をはじめとしたメインキャラクターたちのエピソードを見たかったはずだ。
だが、蓋を開けてみると、本作で描かれたのは数多くのパロディだった。まったく本筋に関係ないパロディでは笑えないし、ただただ冷めてしまったというファンの方が多いだろう。こうした扱いを受け「メインキャラクターたちが蔑ろにされている」と感じてしまうのも十二分に理解できる。きっと新声優陣になった3作目あたりで公開していれば「挑戦したね笑」くらいの反応で済んだのではないだろうか。
また、『ケロロ軍曹』はメタ要素も魅力のひとつではあるが、メタ視点のナレーションを多用しすぎたのも酷評の一因になってしまっている。しつこすぎるメタ発言によりストーリーの腰が折られ、没入できないだけでなく「冷め」続けてしまった。おそらく、ほとんどのメインキャラクターよりナレーションのセリフの方が多いはずだ。
その結果、ナレーションが単なるノイズとして作用してしまい、集大成映画に相応しくない意味不明な要素になり下がっている。大枠のストーリー自体は王道で悪くないはずなのに、それを覆い隠すほど過剰なパロディとメタ発言が、結果として作品の足を引っ張ってしまっているのだ。

