「子どもたちが緊急避妊薬を必要とするケースでは、暴力が背景にあることが多い。そこに対して“安全装置”が準備されているかというと、そうではありません。今後、これまで産婦人科医が経験してきたことと同じような事例に薬剤師が遭遇したときに、そういう(性暴力を受けた)子どもたちを守れるのでしょうか」と種部さんは言う。
10代の妊娠「72%が人工中絶」
産婦人科医が危機感を覚える背景にあるのは、性交同意年齢未満の妊娠の実態について、次のようなデータがあるからだ。
厚生労働省の調査によると、2024年度の10代の妊娠は1万5102件で、うち人工妊娠中絶が1万844件(71.8%)、出産が4258件(28.2%)だった。さらに出産した女性のなかで結婚していない人の数は1874件(44.0%)と半数近い。16歳未満の性交同意年齢未満に限ると、妊娠は588件。そのうち人工妊娠中絶が489件(83%)、出産が99件(17%)だった。
「10代の妊娠の約72%を占める人工妊娠中絶というのは、“医療機関にたどり着けた人たち”という見方もできます。逆に言えば、10代妊娠の約28%を占める出産は、望んだ出産なのでしょうか。予期せぬ妊娠に気付いたものの、相談する機会を逸したか、妊娠に気付かず出産にいたった可能性が高いのです」(種部さん)
さらに、内閣府の調査では、不同意性交をされた経験がある女性は全女性の8.1%(女性12.3人に1人)であることも明らかになっている。
「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」への相談状況を見ると、2023年度の相談件数は6万9100件。

