また内閣府が全国の同センターを対象に行った調査(2022年6〜8月)で相談者の年齢は12歳未満が16.7%、12歳~中学生が13.2%、中学校卒業~19歳が19.9%で、相談内容は「強制性交等・準強制性交等」が最多で約半数を占め、次は「強制わいせつ・準強制わいせつ」だった。
「被害に遭った10代の子たちは、親にも相談できず、加害者や性的搾取のあっせん者に言われるまま緊急避妊薬を求めに来ることもある。加害者が家庭の中にいる場合は、私たち産婦人科医が話を聞こうとしても、『内緒にしたい』『言えない』と加害者をかばう。そんな状況のなかにいる子どもを薬だけ渡して帰してもいいのか」(種部さん)
緊急避妊薬OTC化より大事なこと
緊急避妊薬のスイッチOTC化にあたって薬局では試験的な販売を行い、販売時の服薬指導や連携方法などについて検討を重ねてきた。
だが、試験販売は研究として実施されたため、倫理指針に則り16歳未満は販売対象外とされた。つまり今年2月に始まった本格的な運用から、16歳未満への販売が始まったばかりで、種部さんが挙げたような“困難事例”への対応は、今後起こってくる。
日本は避妊している場合でもその方法はコンドームか腟外射精、すなわち男性の意思決定に依存する手段がほとんどである。女性が“主体的に妊娠するかしないかを決められる”ピルなどの確実な避妊法の実行率は4%(国連のデータより)と極めて低い。
望まない性行為が行われた場合、96%は女性の意思によらない妊娠を引き受けやすい状況にある。だからこそ、入手のハードルが下がるのは望ましいが、ゴールはそこではない。
そもそも、日本の学校教育では「はどめ規制(小中学校では、性交に関することを扱うことが発達段階にふさわしくないとする基準)」があり、性暴力の加害者を生まないための性教育が行われていない。性交同意年齢未満への性暴力の罰則は、欧米と比較して著しく軽く、子どもへの性暴力への対応は著しく遅れている。
そのなかで性暴力から子どもたちをどう守るのか。“緊急避妊薬の隠れた役割“を今一度、考えてみる必要があるかもしれない。
■日本産婦人科医会 記者懇談会資料(2026.5.13)
■内閣府 男女共同参画白書 令和7年版
■内閣府 女性に対する暴力の現状(令和6年12月)
■日本産婦人科医会「緊急避妊薬のOTC化に関する緊急アンケート調査」

