観客に心地よさやカタルシスを感じさせるマーケティングに長けた作品だったこともあるだろう。昨今、若い世代の女性はなかなか洋画に足を運ばないが、本作はそんな壁を取っ払う話題性と作品そのものの力があった。
すでに次作の構想と、それに対してキャスト陣が前向きであることが伝えられているが、若い世代の女性からの支持を受ける強力なシリーズに育っていくポテンシャルが高い。そんなシリーズが出てきたことは、映画業界にとって意義がある。
例年通り定番アニメは盛況、邦画実写は苦戦
邦画は、『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』や『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』(42.6億円)、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』(27.3億円)など定番アニメが例年通りの好成績を上げる一方、実写が苦戦を強いられている。
昨年の『国宝』は別格としても、近年の『変な家』や『8番出口』『はたらく細胞』などのような(そこまでのヒットを事前に期待されていなかった作品による)50億円を超えるサプライズヒットが生まれていない。今上半期の邦画実写では『ほどなく、お別れです』が唯一の40億円台になり、『教場 Requiem』『SAKAMOTO DAYS』は20億円台にとどまった。
是枝裕和監督の『箱の中の羊』は、「第79回カンヌ国際映画祭」コンペティション部門出品や、綾瀬はるかとお笑いコンビ・千鳥の大悟のW主演が話題になったが、興行は大苦戦を強いられている。「第76回カンヌ国際映画祭」で脚本賞とクィア・パルム賞を受賞した是枝監督前作『怪物』(21.5億円)の半分ほどの興収にとどまるかもしれない。
また、正月映画の目玉だった2大テレビ局映画『映画ラストマン -FIRST LOVE-』と劇場版『緊急取調室 THE FINAL』は、どちらも10億円台で上半期TOP10圏外だ。
邦画実写のヒット規模縮小は近年の流れではあるが、今年上半期はかつて大ヒットを連発したテレビ局映画を中心に、より厳しい市況に置かれていることが示された。

