2020年にはコロナ禍も訪れた。ベルギーでは政府が国民の給与の70%を補償する措置を取ったが、STVVでは残りの30%をクラブが負担する選択をした。
「コロナ禍で収益が落ちている中、どのくらい続くかがわからなかったので不安もありましたが、スタッフに安心して働いてもらうためには必要な措置だと判断しました」(立石氏)
こうした決断が結果的に、現地スタッフや地元のサポーターからの信頼にもつながり、少しずつ絆が生まれていった。
そして、2022-23シーズンには黒字化を達成。先シーズンの2024-25は、債務超過も解消して経営体制が整っていったという。しかし、経営面が安定する一方で、クラブはピッチ上では2部降格のギリギリの瀬戸際にいた。
2部への降格危機と、ベルギー国内からの批判
2024-25シーズンの最終節、立石氏とDMMの執行役員である緒方氏は、現地スタジアムで一緒に観戦し、1部の残留が決まった瞬間に胸をなでおろした。
「1部残留が決まった時の安堵と喜びは、今シーズンのヨーロッパリーグの予選プレーオフの出場権を得た時以上に大きかったです」(立石氏)
同時期には、現地メディアからの風当たりも強まった。前編で触れたとおり、日本人選手偏重への懐疑はDMM買収の初期からくすぶっていたが、2024年にも再び表面化した。
2024年9月、STVVとKVコルトレイクの試合では、両チームの日本人選手9名がピッチに立った。これを受けてベルギーメディア『HUMO』は「日本人選手が多くいると、我々のサッカーではなくなる。面白くない」「ベルギーにこれほど多くの日本人がいても、誰も得をしない」と批判的な論調で報じた。

