もう1つは組織だ。社内のコードは「ほぼ100%がAI生成」だとZhu氏は言う。開発すべき機能をAIに指示すると、プログラムの作成から動作確認まで自動で進み、人間は最終的な承認だけを行う。同社はこの仕組みを「Lighthouse Factory」と呼ぶ。「社員を100人以上に増やすつもりはない。フラットな組織で内部の摩擦を最小化し、開発速度を維持する」とZhu氏は話す。
大手テック3社が支える成長基盤
Gensparkの急成長を支えるのは、AIモデル企業や大手テクノロジー企業とのパートナーシップだ。OpenAIにはモデルの早期アクセスを受けてフィードバックを提供し、AnthropicのWebサイトではフラッグシップカスタマーとして紹介されている。
Microsoftとの関係は特に深い。4月にはグローバル戦略パートナーシップを発表し、GensparkのAIエージェントをMicrosoft 365のPowerPoint、Excel、Wordにネイティブプラグインとして組み込んだ。インフラはMicrosoftのクラウド基盤Azure上に構築している。
製品統合だけではない。Microsoftは世界の大企業の経営幹部に最新技術を紹介する専用施設をレドモンド、シリコンバレー、シンガポールの3カ所に持つが、Gensparkは3拠点すべてにブースを設置している。スタートアップでこの扱いを受けている企業はほかにないという。シリコンバレー拠点では来場者数が最多だったと、Microsoft側の担当者が明かした。
NTTグループとの関係も構築が進んでいる。プレスツアーにはNTTVCの設立パートナーでNTTデータグループ取締役を務めるVab Goel氏が登壇し、「Eコマースの導入に出遅れた小売企業は結局回復できなかった。AIのインパクトはその100倍から2000倍だ」と、同じ轍を踏まないよう日本企業に訴えた。
7月21日には東京で次期バージョン「6.0」の発表イベントが予定されている。4.0から5.0を飛ばした大型アップデートで、現在の資料作成やリサーチを超える領域に踏み込む内容だという。
日本法人は9人体制だが、営業やサポートだけでなく開発機能も置いている。日本の顧客からの要望を本社を経由せずに製品へ反映できる体制だ。外資系AI企業でこの規模の日本投資を行っている例はまだ少ない。
中村氏は「日本はGensparkがもっとも価値を発揮できる市場だと思っている」と話していた。

