戦い終えたあと、馬さんは「今まで腕相撲をした中で一番強かったのがカザフスタン人、二番目が日本人、一番弱かったのは北朝鮮人だ」と言った。
すごいな、まさに腕一本で世界を見ている。感心していると、彼は「俺、2019年に日本の腕相撲大会に出たんだ。日本人は体格の割に強いよ。あなたも強い」と國友さんを称え始めた。
草の根の日中友好は死んでいなかった。
ちなみに馬さんが尊敬する日本人は格闘家の魔裟斗(まさと)で、服装や髪型も魔裟斗を真似ているらしい。
ここでも連絡先を交換して別れた。
國友さんが「中国の大学生って素直でかわいいね」とほっこりしていた。若者の多くが日本アニメを通じて日本に悪い感情を持っていないことは知っていたが、武将や格闘家までソフトコンテンツになっているのが、素直な驚きだった。
「どこの国の人間だ」緊張が走った船内
中国人との付き合いが多い私は、一般市民が日本をどう思っているかについて自分なりの肌感覚を持っている。ただ、中国のニュースで連日「日本は危険なところだから行くな」「高市政権は新型軍国主義国家」と流れている中で、知らない中国人に「私は日本人です」というのは多少不安があり、緊張した。
実際はみんな優しかった。もっとも一度だけ、緊張が走った場面があった。

