その恐るべき心不全への「入り口」になり得るのが、「不整脈」だ。
「不整脈は、心筋梗塞のように突然死につながるものばかりではありません。脈が飛んだり、リズムが乱れたりしますが、日々の暮らしに大きな影響がないことも多い。でも、そうした症状を放置し続けると、心臓にダメージが蓄積していくこともあります」
だからこそ重要なのが、心不全になってしまう前の段階で介入すること。
「家が燃え広がってから必死に消火するのではなく、火種のうちに確実に消しておくイメージです」
そのための最強の武器が、近年急速に進歩している「カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)」である。
「カテーテルアブレーション」の進化
「心臓の手術」と聞くと、多くの人は胸を大きく切り開く大手術を想像するだろう。だが、現在の不整脈治療は大きく様変わりしている。
足の付け根や首の血管からペン先ほどの細い管(カテーテル)を挿入し、不整脈の原因となる異常な電気回路の発生源を直接ジューッと焼灼して閉じ込めてしまう。それがカテーテルアブレーションだ。
近年は半導体技術と3Dマッピング技術の発達により、心臓内部の電気の流れを立体的に可視化できるようになった。
井上院長は「まるでGoogleマップやカーナビのようなもの」と表現する。異常な電気回路を正確に見つけられるため、治療の安全性も精度も劇的に向上した。
「当クリニックでは、不整脈治療に特化して手術を行っているため、その熟練の技術と最新のハードウェアが組み合わさることで、麻酔開始から手術終了まで90分程度で終わることもあります」

