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累積赤字1700万円から黒字化へ——奈良シニア大学代表が貫いた"シニアの居場所"づくり《なぜスクール運営だったのか》

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矢澤実穂さん
奈良シニア大学を立ち上げた矢澤実穂さん(写真:筆者撮影)
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だが、そもそも生涯学習のノウハウがなかった矢澤さんは、当時は存在していた京都シニア大学(2025年に閉校)と連携し、そこの「奈良校」としてスタートする。

しかし、実績のない法人に銀行の融資は下りず、初期費用とコンサル費がかさんでいく。あっという間に累積赤字が1700万円に膨れ上がった。

ここでふと、「娘さんの養育費は大丈夫だったのか?」と気になり聞いてみると、矢澤さんは眉尻を下げながら「本当に、母のおかげでした……」と言った。

会社の経理を担当する母は、矢澤さんが新しいことに挑戦するお金を確保してくれていた。さらに、「孫の大学の進学費用は確保しておくから、そこには手を付けないように」ときつく言われてきたという。その約束を守りつつ、矢澤さんは新事業の資金繰りに奔走した。

奈良シニア大学1期生、有名企業のトップの面々

開校から2年後、矢澤さんは独立を決意し、「奈良シニア大学」として新たなスタートを切る。資金も後ろ盾もない中、彼女は毎夜、奈良・学園前エリアの住宅街を走りながら、1日500枚のチラシをポストに投函し続けた。

オープンキャンパスを開くと、30名の1期生が集まった。自ら経歴を明かさなかったが、言葉遣いや醸し出す雰囲気が明らかに違う。後にわかったのだが、中には名だたる大企業の元社長や元役員の姿もあった。会社の看板を下ろした彼らが、セカンドライフの居場所として、キャンパスを持たないこの小さなスクールを選んでくれていたのだ。

当時、矢澤さんは講師の確保に苦戦していた。奈良シニア大学では、毎週違う講師に登壇してもらうカリキュラムを組んでいたが、それが満足に行えない状況だったのだ。

奈良シニア大学の講義が始まるのを前に集まってくる学生たち(写真:筆者撮影)
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