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なぜ深圳では世界的テック企業が次々生まれるのか──起業家を量産する驚異の育成システム

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INNOXのショールーム
INNOXのショールームには、生態系から生まれた製品が並んでいる(写真:筆者撮影)
  • 石井 徹 モバイル・ITライター
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INNOX施設に展示された電動水上モビリティ。左がAlaquaの水中翼ボート、右がANAVIの電動ジェットスキーだ(写真:筆者撮影)

「安い」を脱したブランドが、次にぶつかる壁

ただし、製品が世界水準に達しても、そのまま世界で売れるわけではない。GCSのメインステージでは、海外メディアやマーケティングの実務家が、その先の課題を論じていた。

イギリスのテックメディアCandr Media GroupのChris Dicker氏は、中国製品への見方が5年で明確に変わったと語った。スマートホームやテレビ、スマートフォンで、西側市場に届く製品の質が以前とは比べものにならない、というのだ。カメラや折りたたみ技術で先行するOPPOを例に挙げた。

一方で、レビューで高い評価を得ても売上に結びつかない中国ブランドが少なくないとも指摘した。理由として挙げたのが、与えられた評価をパッケージや販売現場で活用しきれていないこと、そして売上の数字ばかりを追い、ブランドを築く意識が薄いことだ。「最終的に売るのはブランドだ」と述べ、それを怠らないInsta360やSamsungと対比させた。

海外カスタマーサポートを手がけるCallnovoの創業者・許懐峰(Jackie Xu)氏は、信頼が崩れる典型を挙げた。製品を買った後に連絡先が見つからない、電話が通じない、現地の言葉で対応されない、問い合わせても問題が解決しない。海外展開で全チャネルの問い合わせ窓口を各国に置き、対応を現地化し、解決率を上げる体制づくりが要る、という主張だ。

GCSのパネルディスカッション。中国ブランドの海外展開における課題が議論された(写真:筆者撮影)

INNOXの仕組みは、こうした壁の手前までを引き受けている。優れた製品を、速く、安く、世界水準で作るところまでだ。その先で、製品を「ブランド」に変え、海外の消費者の信頼を積み上げる作業は、各社が自力で越えるしかない。

DJIが世界でブランドとして定着したように、後続の200社がそこに到達できるか。深圳のインキュベーターが量産しようとしているのは製品ではなく、その壁を越える起業家の方である。

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