気づけば会話のほとんどが、「周囲からほめられる私」で構成されていた。たつやは、次第に気持ちが冷えていくのを感じた。お見合い終了後に、交際辞退を出しながら、筆者に言った。
「最初は、“こんなきれいな人とお付き合いできたら夢のようだな”と浮かれ気味だったけれど、話をしていると自慢話が満載で、“なんて承認欲求の強い人なんだろう”と思いました」
婚活では、“自信を持つこと”は大切だ。だが、“自信”と“自己賛美”は似て非なるものでもある。特に、結婚相手を探す場では、“容姿端麗で完璧になんでもできる人”よりも、“一緒にいて心安らげる人”が求められるのだ。
笑えない「昔のヤンチャ話」
しゅんいち(41歳・仮名)は、都内で小さな飲食店を営んでいる。外国に渡り、本場で3年間修業。帰国後は雇われシェフとして経験を重ね、4年前に独立した。プロフィールだけを見れば、かなり魅力的な男性だった。
しゅんいちからお見合いを申し込まれたえみ(35歳・仮名)は、そのプロフィールや自己PRの文章を読んで、かなりの好印象を抱いていた。
お見合い当日現れたしゅんいちは、仕立てのいいスーツを着こなし、少しワイルドな雰囲気。これまでお見合いしてきた一般企業に勤める男性たちとは違った印象で、魅力的だった。
お見合いが始まってからの話も、修業時代の話、食材へのこだわり、店を立ち上げるまでの苦労話など、とても努力家で野心家で興味深かった。
ところが、徐々に会話の方向が変わっていった。
「まあ、ここまでやってこられたのは、負けん気が強かったからでしょうね。俺、昔はかなりヤンチャしてたんですよ」
しゅんいちは、どこか誇らしげに笑った。
「高校時代、勉強は苦手。校則も破りまくっていて、先生と毎日ケンカしてました」
さらに、「若い頃は、気に入らない客と店で言い合いになったこともありますよ。雇われシェフだった頃、上から目線のオーナーにアッタマ来て、厨房で皿投げつけたこともあります」
