そう思いながら待っていると、現れたのは、写真とほとんど変わらない美しい女性だった。つやのあるロングヘアに、淡いベージュの上品なワンピース。シンプルなパールのアクセサリー……。
いかにも“婚活で男性受けする”ことを研究し尽くしたようなたたずまいだった。その瞬間、たつやのテンションは一気に上がった。
「これは、ぜひ仮交際に進みたい」
そう思いながら、前のめり気味に会話を始めた。
ところが、話せば話すほど、頭の中に小さな「?」が灯り始めたという。ゆりこの会話には、“自分がいかに周囲から高評価を受けているか”が、絶妙な濃度で混ざり込んでいたのだ。
たとえば、「そのワンピース、とても似合っていますね」と、服装をほめたときのこと。ゆりこは、微笑みながらこう返してきた。
「この服のブランド、昔から大好きなんです。店員さんとも顔なじみで。“なんでも着こなしちゃうから、このお洋服を着たら清楚感が際立ちますよ”って言われて、思わず買っちゃったんです」
「花嫁さんよりも目立っちゃう」
さらに、こんな話も飛び出した。
「もう本当に、1日でも早く結婚したいんです。大学時代の仲良し6人グループで、独身は私ともう1人だけになってしまって」
そこから続く言葉に、たつやは失笑した。
「友達の結婚式に出るときって花嫁さんより目立っちゃいけないから、毎回すごく服選びに気を遣うんですよね。自分の結婚式なら、もう主役なんだから、思い切り華やかなドレスを着られるじゃないですか。今から楽しみで」
悪気はないのだろう。だが、“私は目立ってしまう側の人間”という発言が、会話の端々からにじみ出ていた。
極めつきは料理教室の話だった。
「結婚生活って、やっぱり食事が大事じゃないですか。だから今、料理教室にも通っているんですけど、先生から『包丁使いがすごくきれいで、誰よりも手際がいい』って言われているんですよ」
