高市首相は「主に中東情勢に対応する形の補正予算を検討する」と表明したうえで、ガソリン代に関する提案は「重く受けとめたい」と応じた。さらに財源問題では「決算剰余金も出てくるので、そんなに大きな形での国債発行は不要」などと説明した。
ここで注目されたのは、玉木氏に対する高市首相の態度の変化だ。政権発足当初は極めて親密とみられていたが、年明けの「冒頭解散」をめぐって関係が悪化。その後も、要求をコロコロ変える玉木氏は信用できないと、不信感を露わにしてきた。しかし、今回の討論では「玉木氏のすり寄りに応じて態度を一変」(自民党幹部)させた格好だ。
そもそも「高市政権の弱点は少数与党である“参院の壁”」(官邸筋)。その解消策は「参院で最大野党の国民民主党の取り込み」(自民党の国対関係者)であり、党運営を仕切る麻生太郎副総裁と鈴木俊一幹事長はかねて国民民主党の連立入りを画策してきた。それだけに、今回の高市首相の玉木氏への“秋波”は「今後のさらなる政権安定への布石」(政治ジャーナリスト)との見方が広がる。
参政・みらいとの連携で「野党分断」も
続いて質疑に立った中道の小川代表は、補正予算編成に絡めて「首相は5月11日に(補正予算編成の)可能性を否定していた。答弁が不誠実だ」と詰め寄った。これに対して高市首相は「(補正編成の)指示が遅れたとは思っていない」と強調したうえで、「(国会での補正編成をめぐる)答弁の表現ぶりが変わっていたことには気づいたはず」と開き直った。
さらに、小川代表が「不要不急の基金を取り崩して補正を編成すべきだ」と迫ると、高市首相は「不断の見直しは行っている。できる限り特例公債の発行を抑制し、しっかりと国民生活や事業を守っていきたい」と落ち着いた表情で答弁した。
小川代表に続いて、立憲民主党の水岡代表は、高市政権がアメリカとイスラエルによるイラン攻撃への国際法上の評価を控えていることを追及した。高市首相は「評価を行っている国は非常に少ない」として、日米関係重視の立場からも適切な対応だとの見解を示した。
参政党の神谷代表は、東京大学の学園祭「五月祭」での自身の講演が爆破予告などで中止となったことについて「演説を妨害する、講演を中止させるといったことは完全な言論封殺であり、民主主義の根幹を脅かす行為だ」として防止策の策定を要求。
高市首相は、こうした政治活動への妨害行為の拡大に懸念を共有したうえで、「現行の公職選挙法でも取り締まれるが、法的な対応が必要なときには国会からご提案をいただきたい」と、国会での各党の協議に委ねる考えを示した。
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【野党が踏み込まなかった「スキャンダル」】
