ただ、今のアーティストには、音楽だけではない負荷もある。
「今は音楽そのものだけではなく、SNSや映像を通じて、可視化とセットで広がっていくことが求められている時代でもあります。可視化を止めない。そのカロリーは、アーティストにとって本当に大変だと思います」
K-POPが世界を席巻、日本が世界で戦うためには
K-POPが世界の音楽シーンを席巻し、日本のアーティストの海外進出も加速している。では、日本発の音楽が世界で戦うために必要な視点とは何か。
「日本らしさと普遍性というものがあるなら、間違いなく大事なのは普遍性です。ただ、その普遍性は、日本文化の中にもあるんです。日本文化には、白か黒か、イエスかノーかだけでは割り切らない、“あいだ”を大切にする感覚がある。世界が分断している時代だからこそ、そういうものが必要とされているのではないでしょうか」
大事なのは、日本性を過剰にアピールすることではない。日本の中で生まれたものを、どう普遍性として受け取ってもらうかだ。
そのヒントとして、亀田は、近年海外でも再評価が進むギタリスト・高中正義の広がりを挙げる。
「高中さんは、昔からやっていること自体は変わっていない。でも、コンサートでの動画の撮影を『撮っていいよ』『好きに上げていいよ』とオープンにしたことで、シティポップのリバイバル人気のその先で爆発的に広がっていった。シンプルに大事なのは、オープンにしていくこと。制限をかけるのではなく、とにかく広げていく。そこが大切なのかなと思います」
一方で、亀田が危機感を抱いているのは、音楽に対する“お金のかけ方”だ。
「今はコンピューターがあり、AIがあり、誰でも手軽に音楽を作れるようになりました。極端に言えば、パソコン1台あれば創作はほぼできてしまう。サブスクで聴かれている音楽の多くは、ほぼコンピューターの中で作られている。お金をかけずに作ることが当たり前になっているんですね」
制作のハードルが下がるなかで、バンドやオーケストラ、生演奏にかかるコストは見えにくくなっている。
「生の音楽の感動体験は、本当に半端じゃない。本物のアーティストが、ライブステージから届けてくれる感動がある。それを作り出すためには、やっぱりお金もかかるし、それを支えるスタッフも必要です」
次ページが続きます:
【変化する仕事観】
