中には、「ブースはいらないので、社員向けに話をしてほしい」と求める企業もあるという。
「好きなものへの向き合い方だったり、プロジェクトを続けるための考え方だったり、チームがうまくいかないときにどう乗り越えるのかだったり。そうした対話そのものが、協賛の価値になってきているんですよね。企業さんが今、社会や社員に何を届けたいのか。そこに対して、日比谷音楽祭らしい対応ができるようになってきたと思います」
無料フェスを続けるための仕組みを更新する一方で、亀田の視線は音楽業界そのものの変化にも向いている。
AIの進化によって、音楽制作のハードルは大きく下がった。
では、その時代に、あえて生身の人間が音を鳴らす意味はどこにあるのか。
AI時代に高まる“若い世代の才能”
AI時代の音楽業界に、亀田は希望と危機感の両方を見ている。
希望を感じているのは、若い世代の表現力だ。
「最近の若い世代のアーティストたちは、音楽のテクニックと表現力の両方を兼ね備えていて、それがものすごく高いレベルで結びついていると感じます」
かつては、レコードやCDから音だけを聴き、どのように演奏しているのか想像するしかなかった。
しかし今は、動画があり、SNSがあり、わからないことはAIで調べることもできる。
「腕だけではなく、感受性も磨かれているんです。昭和や平成のアーティストたちに比べても、見えている景色が違う。だからこそ、高いレベルのものを吸収できているのだと思います」
情報に触れる量も、吸収する速度も、かつてとは大きく違う。
「人の才能というのは、環境や努力、自助努力によって生まれてくるものだと思います。ただ、そのスピード感は、SNSやインターネット、AIの恩恵によって明らかに変わってきている」
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【音楽だけではない負荷】
