また安田教授は、手数料が下がってもアプリ価格が自動的に下がるとは限らないと説明した。アプリは一度開発すれば追加販売の限界費用がほぼゼロであり、手数料は売上に対する割合として課される。このため、開発者にとっては手数料率が下がっても、価格を下げるより利益として残す方が合理的になりやすい。代替ストアで一時的に安く見える価格も、利用者を移行させるための短期的な価格差にすぎず、長期的な消費者利益とは限らないという。
さらに、規制が手数料モデルだけにかかるとなると、有料アプリから広告モデルへの誘導が進む可能性もある。消費者厚生は「アプリが安くなるか」だけでなく、安全性、品質、利便性、イノベーションへの投資まで含めて評価すべきだというのが安田教授の主張である。
そもそもスマホ新法は必要だったのか
政策は施行されるまではさまざまな議論が交わされるが、施行されると「のど元過ぎれば」になりやすい。今回のスマホ新法に関しても、我々消費者は、どのような効果が実際にあり、どのような影響が……場合によっては『悪影響が』あったのかを継続して見守り続け、議論し、意見していかなければならない。
スマホ新法は、比較的健全な運用によって、当初心配されたような悪影響は限定的になったと思われる。
しかし、そもそもアプリの価格が安くなっていないのなら消費者の利益はないし、内需も拡大されていない。我々が日々使うスマートフォンの安全性が大きく低下し、アップルとGoogleの比較で言えば、アップルだけに不要なダメージを与え、Googleの広告モデルへのメリットを大きくしている。
ならば、『そもそもこのスマホ新法は必要だったのか?』。 そういう議論も必要だと筆者は思う。
