さらに山岡氏は、AIの進化によって脆弱性探索が劇的に加速していると危機感を募らせる。従来は解析が困難だったコンパイル済みバイナリですら、生成AIによって脆弱性検出が可能になりつつあり、とくに情報を閉じることで守られてきたiPhoneの安全性にも大きな影響を与える可能性があるという。最近、アップルが旧OS向けにも緊急アップデートを配信し始めた動きにも触れ、「これまで見つからなかった脆弱性が、AIによって大量に発見され始めている可能性がある」と語った。
また、スマホの脆弱性は個人情報漏洩だけでなく、安全保障レベルの問題にも発展していると指摘。ロシア・ウクライナ戦争で、Android端末に仕込まれたスパイウェアが兵士の位置情報収集に利用された事例を挙げ、スマホは今や多くの意味での『攻撃対象』になっていると説明した。
スマホ新法による代替アプリストアやOS機能開放は、競争促進につながる一方、審査主体の分散や権限管理の複雑化を招き、結果としてセキュリティリスクを高める可能性があると警鐘を鳴らした。
競争が本当に消費者利益につながっているのか
次に登壇したのは、ひかり総合法律事務所の板倉陽一郎弁護士。スマホ新法について、「競争が本当に消費者利益につながっているのか」という視点から整理した。
アップルやGoogleのApp Store手数料が引き下げられ、外部決済や代替アプリストアも解禁されたが「実際にアプリ価格が下がったという実感はほとんどない」と指摘。
ポケモン GOやRobloxなど一部では外部ストアによる値下げや特典追加が見られたものの、スマホ新法施行後5カ月時点では、目に見える価格競争はまだ限定的だと分析した。
また、ブラウザや検索エンジンの『チョイススクリーン』も導入されたが、多くの利用者はSafariやChrome以外のブラウザを知らず、話題にさえなっていないとした。Kindleアプリで電子書籍購入リンクが解禁されたことなど、一部の変化は注目を集めたが「制度が始まったこと自体を消費者は意識していない」と見る。
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【消費者利益よりも混乱やリスクを生んでいる】
