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イギリスからアメリカ、そして中国へ―覇権交代の歴史が示す世界の未来は?世界戦争の勃発、思想の崩壊の可能性も

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2026年5月15日、北京の中南海で習近平国家主席と会談するアメリカのトランプ大統領(写真:China Pool/Getty Images)
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最高の製品は、最高の部品によって生まれるとすれば、部品を他国に依存するようになれば終わりである。

ドイツの経済学者であるアンドレ・グンダー・フランクは、覇権の交代は勃興する国の力ではなく、中心国の没落から生まれると述べている。

〈地位の変化は、その都度、長い「準備期間」やそれ以前にあって予測可能であった、(半)周辺的地域ないし新しい「先進」部門の勃興によって起こるのではなく、むしろ中心において、相対的に突然起こるシステム規模の危機のために起こるのだということは、いくら強調しても、何回協調しても、しすぎることはない」(『リオリエント〈新版〉 アジア時代のグローバル・エコノミー』山下範久訳、藤原書店、2024年、445ページ)〉

覇権の交代は中心国の没落から生まれる

この仮説がもし正しいならば、覇権国の失墜は、覇権国自らのシステムエラーから生まれることになろう。イギリス、アメリカといった覇権国は、覇権を失う前にすでにシステムエラーを起こし、自壊しつつあったということである。

勃興する新しい覇権国との戦争という最終手段をとるまでもなく、自らのシステムがエラーを起こしている以上、いくら覇権をねらうライバルをつぶすために戦争という暴挙に出てみたところで、その崩壊は避けられないということである。

アメリカ覇権という戦後システムは、国連やIMFといった戦後を彩るすべてのシステムのエラーを意味するかもしれない。その終焉の後に、新しいシステムがどう生まれてくるのか、今世界は不安のなかで暮らしているといえる。

消え去るもの、残るもの、そして再構築されるもの、また新しく出現するもの、これまでの世界に安閑と暮らしていた人々にとっては、人生の価値観を失う大きな試練の場といえる。

とりわけ欧米諸国は、2世紀にわたって誇ってきた西欧的世界観と覇権を失うのであるから内心、尋常ではないはずだ。それはまさに江戸末期の日本の黒船来航がもたらしたショックの世界版ともいえるものだ。

これに徹底して抵抗するのか、それとも静かに従うのか。この変化は、地球のS極とN極の磁場が逆転したのと同じ大きな変動かもしれない。

これにあくまで抵抗すれば、世界戦争という混沌に陥り、破滅的状況へと進むかもしれない。黙して従えば、戦後世代の多くの思想的価値観は生きた屍(しかばね)になる可能性もある。

抵抗する旧世代は、長生きしすぎたのだろう。モーセが神によって新たな世界「イスラエル」に入ることを拒否されたように、旧世代は残念ながら新しい世界に入ることができないのかもしれない。

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