再審制度の見直しをめぐるドタバタ劇を振り返ると、法務省の当初案に対する自民党の事前審査で、稲田氏ら党内の弁護士出身議員を中心に「再審開始決定に対する検察の不服申し立て(抗告)の全面禁止」を求める声が噴出して紛糾した。
これを受けて、法務省最終案では、刑訴法の本体である本則において、検察による高裁への即時抗告と最高裁への特別抗告の要件をいずれも厳格化。検察が抗告した理由を公表するとの規定も付則から本則に引き上げて、論議の収束を図った。
その一方で、高市首相にとって石破茂前政権から引き継いだ“宿題”で、しかも「被害者の人権救済が目的で、高市首相が熱意を示す“タカ派色”の濃い案件ではなかったため、強い関心は示してこなかった」(官邸筋)との指摘も多い。
政府・法務省当局は当初、再審見直しの刑訴法改正案を4月前半に閣議決定する段取りを描いていた。しかし、3月にスタートした自民党の事前審査では、法務省案に批判が噴出したことで状況が一変。法務省は一部修正での事態打開を模索したが、逆に「小手先の改正」(稲田氏)と反発が激化し、決着が5月連休明けに持ち越されることになった。
重要広範議案に指定されている政府の提出予定法案が、なかなか与党の了承を取り付けられなかったのは、極めて異例の事態。今国会の当初会期は7月17日までで、「今後の審議日程を考慮すると、大幅な会期延長がない限り、会期内成立は見通せない」(自民党国対関係者)のが実情だ。
与党側は「よりよい内容になった」と胸を張るが…
最終的な改正案は、閣議決定に先立つ14日午前に総務会などでの自民党内の手続きが行われた。有村治子総務会長は記者会見で「さまざまな意見を持つ議員が議論を充実させ、意見集約を図ったもので、明確な疑義は出なかった。妥協ではなく、心の底から信念を戦わせ収斂させるという自民党のいいところが出た」と語った。
これと並行して、自民党と日本維新の会は、梶山弘志、遠藤敬両国対委員長が14日午後に国会内で会談し、「今国会での成立に向けて緊張感を持って臨んでいく」ことを確認。木原稔官房長官も同日午後の記者会見で「与党審査でさまざまな意見や指摘をいただき、修正を施したことで、よりよい内容になった」と胸を張った。
その一方で、高市首相も14日昼、首相官邸に有村総務会長や小林鷹之政調会長、西村康稔選対委員長を招き、昼食を共にしながら懇談。席上、高市首相は再審見直しの刑事訴訟法改正案など重要政策の進め方をめぐり「今国会もあと2カ月、しっかりやっていこうとおっしゃった」(有村氏)という。
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【野党側の受け止めは?】
